最新記事
兵器

ウクライナ各地の戦場に続々と出現する、ロシア軍「亀戦車」...防御力の弱さ露呈した「撃破」動画

Russian 'Turtle Tanks' Onslaught Goes Horribly Wrong in Ukraine Video

2024年5月18日(土)15時35分
エリー・クック
ウクライナ軍がロシア軍の戦車を撃破

ウクライナで破壊されたロシア軍の戦車 kibri_ho/Shutterstock

<FPVドローンなどによる攻撃から車体を守るため、金属製の防御用金網などを取り付けたロシア軍戦車がウクライナ各地で目撃されている>

ウクライナ東部ドネツク州の前線で攻勢を強めるロシア軍。戦闘はウクライナ全域で繰り広げられているが、最近これらの前線にロシア軍が次々と投入しているのが「亀戦車」だ。これは攻撃から車体を防ぐため、金属製の防御用金網などを取り付けた戦車だが、新たに公開された映像を見ると、正確な砲撃に対する「甲羅」の防御力は不十分であることが分かる。

■【動画】ロシアが続々投入「異形の新型戦車」、防御力の弱さ露呈...砲撃で次々「撃破」する映像をウクライナ公開

ウクライナ東部で展開する同国の第79独立空中強襲旅団は5月14日、短い動画を公開した。そこに映っているのは、ドネツク州の村ノヴォミハイリフカ周辺で、戦闘車両17台で構成されたロシア軍の部隊が、ウクライナ軍の部隊を攻撃している様子だという。その中には、金網で覆われたロシア軍の戦車も映っている。

「戦車に防御用の金網を取り付けても、狙いを定めた攻撃には役に立たなかった」。同旅団は、ソーシャルメディアへの投稿でそうコメントしている。

ここ数週間、インターネット上で広まっている映像は、ロシアが自軍の戦車に甲羅のような金属構造物を取り付けて覆い、前線付近で攻撃してくるウクライナ軍のFPV(一人称視点)ドローン、通称カミカゼ・ドローンから守ろうとしている様子を示している。防御用の金網が取り付けられたこの戦車は「カメ戦車」と呼ばれSNSでは笑いものになっている。

小型武器の専門家マシュー・モスが本誌に語ったところによると、カメ戦車は、ロシア軍が新たに攻勢を仕かけているハルキウ州北東部を含む、ウクライナの前線のあちこちに出現しているという。

ロシア戦車はウクライナ軍ドローンの「お気に入りの標的」

カメ戦車は、数が増え、形式も統一されていくのだろうか。モスによれば、「カメ戦車にどのくらいの効果があるのか、また、ウクライナ軍が適応して、より効果的な攻撃法を考案できるか、この二つの要素にかかっている」という。

ウクライナ側の情報源がここ数週間、投稿している動画は、ドネツク州でロシア軍の戦車が破壊され、防御用の金属製カバーが残骸となっている様子だとされている。

ウクライナ軍は、安価なFPVドローンを大量に投入し、ロシア軍の装甲車や戦車を狙い撃ちしている。ウクライナ国防省は4月はじめ、「ロシア軍の戦車は、ウクライナ軍のFPVドローンにとって『お気に入りの標的』だ」と述べていた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

スペイン・バルセロナで再び抗議デモ、家賃引き下げと

ビジネス

欧州半導体業界、自動車向けレガシー半導体支援を要望

ワールド

焦点:ロシアの中距離弾道弾、西側に「ウクライナから

ワールド

豪BHP、チリの銅開発に110億ドル投資へ 供給不
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    「典型的なママ脳だね」 ズボンを穿き忘れたまま外出…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中