最新記事
注目ニュースを動画で解説

原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

2024年5月13日(月)15時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
韓国国旗と人込み

Newsweek Japan-YouTube

<韓国で急激に進む少子化の理由について解説したアニメーション動画の内容を一部紹介する>

2018年に1.0を割った韓国の合計特殊出生率は、昨年の時点で0.72にまで低下。ハイペースで少子化が進んでいる。

少子化の原因として、若年層における非正規雇用の割合の高さや婚姻年齢の上昇を指摘する声は多い。しかし他国と比べると、韓国の若者をとりまく状況は決して悪いとは言えない。韓国で少子化が加速している本当の理由とは──。

本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「韓国少子化、若者は貧しくないのになぜ深刻に?【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。

◇ ◇ ◇

OECDの統計によると2023年の韓国の失業率は2.7%で、15~24歳の失業率は7.4%。若年層の失業率はOECDの38か国の中で7番目に低く、アメリカの10.1%、フランスの18.5%、イタリアの25.4%と比べても低い数値となっている。

newsweekjp_20240510082457.jpg

2021年のOECDデータによれば、高卒以上の学歴を持つ24~34歳のうちパートタイムや年次契約で働く割合は世代人口の5%と低く、労働条件や給与面については他国に対して特別劣っているとも言えない。

国全体の格差を示すジニ係数は2022年時点で0.324。日本と同程度でイギリスやアメリカに比べれば格差も少ない。
newsweekjp_20240510083755.jpg

では、韓国の若者は何に対して不安を感じているのか──。それは、悪化する「未来」への展望に対してだと言える。

高度成長が続いた時代は「今」の生活が苦しくとも「未来」に希望を見出すことができた。しかし、民主化と経済成長を経て先進国となった韓国は、目指すべきモデルを見失った。

未来への希望がなくなることで少子化が進み、少子化が進むことで未来がより暗いものとなる。韓国社会は負のスパイラルに入りつつある。

newsweekjp_20240510085923.jpg

また、インターネットを通じて可視化された富裕層の存在は韓国の若者の前に「格差の象徴」として現れる。社会に広がる嫉妬や羨望が未来への不安を煽っている。

韓国の人々がこの状況からどのように希望を見出していくか。同じく少子高齢化と人口減少の問題を抱え、「老いゆく社会」に生きる者として、韓国の姿は日本の合わせ鏡になる。

newsweekjp_20240510090953.jpg

■より詳しい内容については動画をご覧ください。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏メディア企業、暗号資産決済サービス開発を

ワールド

レバノン東部で47人死亡、停戦交渉中もイスラエル軍

ビジネス

FRB、一段の利下げ必要 ペースは緩やかに=シカゴ

ワールド

ゲーツ元議員、司法長官の指名辞退 売春疑惑で適性に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中