最新記事
ラファ攻撃

ラファ避難民密集地区攻撃、死者45人 イスラエルは調査へ

2024年5月28日(火)11時54分
ロイター

イスラエル軍が26日夜に実施したパレスチナ自治区ガザ最南部ラファの北西部への空爆により、避難民が密集している地区で火災が発生し、子供や女性、高齢者を含む少なくとも45人が死亡した。(2024年 ロイター/Mohammed Salem)

イスラエル軍が26日夜に実施したパレスチナ自治区ガザ最南部ラファの北西部への空爆により、避難民が密集している地区で火災が発生し、子供や女性、高齢者を含む少なくとも45人が死亡した。国際司法裁判所(ICJ)がラファ攻撃の即時停止を命じた後も攻撃を続けるイスラエルに対し、国際的な非難が高まっている。

イスラエルは空軍がラファにあるイスラム組織ハマスの拠点を攻撃したと表明。避難民らによると、数千人の避難民が密集しているラファ中心部に近いテル・アル・スルタン地区が攻撃を受けた。ロイターが入手したビデオ映像には、暗闇の中で燃え盛る火災の中でパニックに陥って悲鳴を上げる人々の姿が映っている。

イスラム組織ハマスの保健当局によると、死者の半数以上が女性、子供、高齢者だった。重度の火傷を負った人がいるため、死者数は増える恐れがあるとしている。

 

<ネタニヤフ首相、調査実施を表明>

イスラエルのネタニヤフ首相は27日、ラファへの空爆に民間人の犠牲者を出す意図はなかったとし、調査を行うと表明。議会での演説で「非戦闘員に危害を加えないよう最大限の努力を払ったにもかかわらず、残念ながら悲劇的な事態が発生した」とし、「調査を実施し、結論を出す」と述べた。

米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)報道官は「イスラエルにはハマスを追及する権利がある」としながらも、イスラエルは民間人を守るためにあらゆる予防措置を講じなければならないとし、調査実施を求めた。

<国際社会の非難相次ぐ>

欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は、ICJの命令は尊重されなければならないと指摘。フランスのマクロン大統領もイスラエルはラファに対する作戦を中止しなければならないとしたほか、ドイツのベーアボック外相は「国際人道法は全ての者に適用される。イスラエルの戦争遂行にも適用される」と述べた。

アラブ諸国からも非難が相次いでおり、エジプトが国際法の明白な違反としたほか、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)も非難。カタールはラファへの攻撃で休戦と人質交換の実現に向けた取り組みが妨げられる恐れがあると警告した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

2024081320issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年8月13日/20日号(8月6日発売)は「世界に挑戦する日本エンタメ2024」特集。Cover Story:Number_i 密着ドキュメント+独占インタビュー ※この夏季合併号は表紙が異なる特別編集版もあります

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏「侵略者に圧力」、ロシア越境攻撃初め

ビジネス

CPIや企業決算に注目、混乱沈静化見極め=今週の米

ワールド

ハリス氏「FRBの決定に介入せず」、トランプ氏との

ワールド

トランプ陣営にハッキング、イランを非難 証拠示さず
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界に挑戦する日本エンタメ2024
特集:世界に挑戦する日本エンタメ2024
2024年8月13日/2024年8月20日号(8/ 6発売)

新しい扉を自分たちで開ける日本人アーティストたち

※今号には表紙が異なり、インタビュー英訳が掲載される特別編集版もあります。紙版:定価570円(本体518円)デジタル版:価格420円(本体381円)

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代ギリシャ神話の「半人半獣」が水道工事中に発見される...保存状態は「良好」
  • 2
    日本人が知らない「現実」...インバウンド客「二重価格」を議論してる場合じゃない
  • 3
    シャーロット王女が放つ「ただならぬオーラ」にルイ王子もひれ伏す
  • 4
    ウクライナ部隊、今度は南部ヘルソン州キンブルン砂…
  • 5
    えっ、トランプが撤退!? ...憶測が流れ、ニッキー・…
  • 6
    「ガラパゴス音楽」とは呼ばせない ...日本人アーテ…
  • 7
    指名争いから撤退も、ヘイリー元国連大使が「ブラン…
  • 8
    光の届かない深海で「暗黒酸素」が生成されていた...…
  • 9
    共和党副大統領候補バンスのインド系妻がMAGAに「転…
  • 10
    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…
  • 1
    バフェットは暴落前に大量の株を売り、市場を恐怖に陥れていた
  • 2
    古代ギリシャ神話の「半人半獣」が水道工事中に発見される...保存状態は「良好」
  • 3
    「フル装備」「攻撃準備の整った」燃料気化爆弾発射装置を爆破する劇的瞬間...FPVドローン映像をウクライナが公開
  • 4
    ウクライナのF-16が搭載する最先端ミサイル「AIM-9X…
  • 5
    「ガラパゴス音楽」とは呼ばせない ...日本人アーテ…
  • 6
    日本人が知らない「現実」...インバウンド客「二重価…
  • 7
    ドローン「連続攻撃」で、ロシア戦闘車が次々に爆発…
  • 8
    「ゾッとした」「未確認生物?」山の中で撮影された…
  • 9
    「未完の代名詞」サグラダ・ファミリアが工事開始か…
  • 10
    ウクライナ部隊、今度は南部ヘルソン州キンブルン砂…
  • 1
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 2
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 3
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい」と話題に
  • 4
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 5
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 6
    バフェットは暴落前に大量の株を売り、市場を恐怖に…
  • 7
    古代ギリシャ神話の「半人半獣」が水道工事中に発見…
  • 8
    ヨルダン・ラジワ皇太子妃に第一子誕生...皇太子が抱…
  • 9
    「フル装備」「攻撃準備の整った」燃料気化爆弾発射…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中