バイデンがネタニヤフに「最後通告」、軍事支援見直しを示唆 その数時間後、イスラエルは...
バイデン米大統領(写真左)が4月4日、イスラエルのネタニヤフ首相(右)に対して事実上の「最後通告」を突き付けた。昨年10月、イスラエルのテルアビブで撮影(2024年 ロイター/Evelyn Hockstein)
バイデン米大統領が4日、イスラエルのネタニヤフ首相に対して事実上の「最後通告」を突き付けた。パレスチナ自治区ガザの市民や外国の支援団体関係者の保護を徹底しないなら、米国はイスラエル支援を見直すと宣言したのだ。
イスラエルはこれまでのイスラム組織ハマスとの戦闘を続ける中で、多数のパレスチナ市民の犠牲者を生み出しており、米国は何度も戦術を修正するよう求めてきた。そして1日に米国の食糧支援団体ワールド・セントラル・キッチン(WCK)のメンバー7人がイスラエルの攻撃で死亡したことで、ついにこうした強いメッセージを発した。
WCKメンバーの死亡についてイスラエル側は、意図的な攻撃ではなかったと説明している。
ホワイトハウスはネタニヤフ氏に求める具体的な対応策や、同氏が米国のメッセージに耳を貸さなかった場合にどうするのか詳しいことは明らかにしていない。ただ複数の専門家は、米国からイスラエルへの武器供与にブレーキをかけたり、国連において米国がイスラエル支持姿勢を弱めたりすることを示唆していると分析した。
米シンクタンク、外交問題評議会のアナリスト、スティーブン・クック氏は、バイデン氏が先月に自身とネタニヤフ氏の関係が転換点に向かいつつあると発言したことに触れて、その転換点が突然現実化しようとしていると指摘した。
別の米シンクタンク、ワシントン近東政策研究所に属する元外交官のデニス・ロス氏は「バイデン氏が実質的に言っているのは、人道的なニーズに対応しない限り、(軍事)支援に条件を付けざるを得ないということだ」と述べた。
11月の大統領選で再選を目指すバイデン氏は、パレスチナ市民の犠牲者が増加する事態に幻滅した与党民主党左派からのネタニヤフ氏の行動抑制を迫る圧力に応じながら、大半が親イスラエルの無党派層に離反されないようにするため、ガザ紛争を巡る問題では一貫して難しいかじ取りを強いられている。
そうした中でこれまでバイデン氏は、イスラエル向け武器供与を条件付きとすることに抵抗を続けてきた。
しかしホワイトハウスの声明によると、バイデン氏は今、イスラエルに「民間人の被害や人道面での苦難、支援従事者の安全問題を解決する個別具体的で目に見える措置を発表し、実行すること」を求めている。
また声明には、米国のガザに関する政策はイスラエルによるこれらの面での当面の対応を評価した上で決定すると明記された。
ブリンケン国務長官はもっとはっきりと「イスラエルの政策に必要な変化が見られなければ、米国の政策は(従来から)変わるだろう」と言い切った。