最新記事
ガザ紛争

バイデンがネタニヤフに「最後通告」、軍事支援見直しを示唆 その数時間後、イスラエルは...

2024年4月5日(金)19時22分
ロイター
バイデン ネタニヤフ

バイデン米大統領(写真左)が4月4日、イスラエルのネタニヤフ首相(右)に対して事実上の「最後通告」を突き付けた。昨年10月、イスラエルのテルアビブで撮影(2024年 ロイター/Evelyn Hockstein)

バイデン米大統領が4日、イスラエルのネタニヤフ首相に対して事実上の「最後通告」を突き付けた。パレスチナ自治区ガザの市民や外国の支援団体関係者の保護を徹底しないなら、米国はイスラエル支援を見直すと宣言したのだ。

イスラエルはこれまでのイスラム組織ハマスとの戦闘を続ける中で、多数のパレスチナ市民の犠牲者を生み出しており、米国は何度も戦術を修正するよう求めてきた。そして1日に米国の食糧支援団体ワールド・セントラル・キッチン(WCK)のメンバー7人がイスラエルの攻撃で死亡したことで、ついにこうした強いメッセージを発した。

WCKメンバーの死亡についてイスラエル側は、意図的な攻撃ではなかったと説明している。

ホワイトハウスはネタニヤフ氏に求める具体的な対応策や、同氏が米国のメッセージに耳を貸さなかった場合にどうするのか詳しいことは明らかにしていない。ただ複数の専門家は、米国からイスラエルへの武器供与にブレーキをかけたり、国連において米国がイスラエル支持姿勢を弱めたりすることを示唆していると分析した。

米シンクタンク、外交問題評議会のアナリスト、スティーブン・クック氏は、バイデン氏が先月に自身とネタニヤフ氏の関係が転換点に向かいつつあると発言したことに触れて、その転換点が突然現実化しようとしていると指摘した。

別の米シンクタンク、ワシントン近東政策研究所に属する元外交官のデニス・ロス氏は「バイデン氏が実質的に言っているのは、人道的なニーズに対応しない限り、(軍事)支援に条件を付けざるを得ないということだ」と述べた。

11月の大統領選で再選を目指すバイデン氏は、パレスチナ市民の犠牲者が増加する事態に幻滅した与党民主党左派からのネタニヤフ氏の行動抑制を迫る圧力に応じながら、大半が親イスラエルの無党派層に離反されないようにするため、ガザ紛争を巡る問題では一貫して難しいかじ取りを強いられている。

そうした中でこれまでバイデン氏は、イスラエル向け武器供与を条件付きとすることに抵抗を続けてきた。

しかしホワイトハウスの声明によると、バイデン氏は今、イスラエルに「民間人の被害や人道面での苦難、支援従事者の安全問題を解決する個別具体的で目に見える措置を発表し、実行すること」を求めている。

また声明には、米国のガザに関する政策はイスラエルによるこれらの面での当面の対応を評価した上で決定すると明記された。

ブリンケン国務長官はもっとはっきりと「イスラエルの政策に必要な変化が見られなければ、米国の政策は(従来から)変わるだろう」と言い切った。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

2月完全失業率は2.4%に改善、有効求人倍率1.2

ワールド

豪3月住宅価格は過去最高、4年ぶり利下げ受け=コア

ビジネス

アーム設計のデータセンター用CPU、年末にシェア5

ビジネス

米ブラックロックCEO、保護主義台頭に警鐘 「二極
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中