卵、鶏肉、ハチミツ...小さな経済支援が数年後、ウクライナの「毒杯」となる
だがハンガリー、ポーランド、スロバキアなど、ウクライナと国境を接する国々の多くは、安価なウクライナ産農産物が大量に流入すると自国農家の脅威になるとして反発した。ポーランドのようにウクライナ産農産物の輸入禁止を一方的に導入した国もある。
欧州委員会の提案では、ウクライナ支援措置はもう1年間延長されるが、一部品目により厳格なセーフガード(緊急輸入制限)が設定され、ウクライナは年間3億5000万ユーロ前後の収入減となる見込みだ。EUの立法機関である欧州議会の正式なお墨付きを得るためには、さらなる妥協が必要になる可能性がある。
それでもウクライナは延長は歓迎するだろうが、問題はポーランドのような最前線の国々がどう受け止めるかだ。このEUの経済支援措置は数年後、ウクライナにとって「毒杯」となるリスクがある。戦争が終結すれば、ウクライナは10年がかりのEU加盟交渉に臨むとみられている。
「ポーランドの立場から言わせてもらえれば、ウクライナはもっと注意深く自由化を進めるべきだ」と、シンクタンク欧州外交評議会(ECFR)ワルシャワ事務所のピョートル・ブラス代表は言った。「結局のところ、ウクライナは(EU加盟のために)ポーランドの支援を必要としているのだから」