日本の自衛隊、西太平洋への進出を窺う中ロ艦船の監視と情報収集に活躍
中ロ海軍初の合同演習で、山東省青島の海を航行するロシアのミサイル巡洋艦ヴァリャーグ(2012年4月25日)
<中国軍やロシア軍は、太平洋の広大な海域を利用する際に、日本の領海を横断しなければならないことが多い。日本列島は中国が軍事戦略上対米防衛線とみなす第一列島線の起点でもあり、自衛隊の存在感が増している>
日本が3月25日に発表した新情報で、日本海におけるロシアと中国の軍艦の最近の動きが明らかになった。
防衛省統合幕僚監部によれば、3月23日から25日にかけて西太平洋地域を出入りした少なくとも4隻の艦船について、自衛隊の艦船と航空機が緊急出動し、監視と情報収集を行った。
日本はアメリカの同盟国であり、同様にアメリカの同盟国である韓国と海洋上の国境を接しているが、ロシア、中国、北朝鮮という仮想敵国とも隣接している。日本海は、ロシアの太平洋艦隊の本拠地であり、北朝鮮のミサイル実験場ともなっている。
中国軍やロシア軍は、太平洋の広大な海域を利用する際に、日本の領海を横断しなければならないことが多い。日本列島は中国が軍事戦略上対米防衛線とみなす第一列島線の起点でもある。
統合幕僚監部の発表によれば、3月23日に中国海軍のルーヤンⅡ型ミサイル駆逐艦(052C)とジャンカイⅡ型フリゲート艦(054A)が、横当島(鹿児島県)の南西約90キロの海域で目撃され、その後、横手島と奄美大島の間の海域を北東に進み、太平洋に向けて航行した。
中国人民解放軍東部戦区の東海艦隊に所属するこの2隻の艦船に対し、海上自衛隊は、P-1とP-3C哨戒機を派遣し、警戒監視した。
中国測量艦の怪しい動き
翌24日、自衛隊はロシア太平洋艦隊のステレグシチー級フリゲート艦レーズキィ(プロジェクト20380)を、本州の北東約40キロの海域で発見した。この船は狭い津軽海峡を通り、日本海に向かって航行した。
防衛省によれば、すがしま型掃海艇いずしまと、えのしま型掃海艇の1番艇えのしまが、このロシア艦船2隻を監視・情報収集した。
ロシア国防省は短い声明を出し、レーズキィはロシアの極東カムチャッカ半島沖で演習を行い、26日にウラジオストクの母港に戻ったと発表した。
また、25日には日本最西端の有人島与那国の南約40キロの海域で中国海軍に所属する636A型またはシュパン級測量艦マオイシェンも目撃されており、防衛省はあぶくま級護衛艦JSとねを派遣すると共に、P-3C哨戒機をスクランブル発進させ、警戒監視を行ったことを発表した。
統合参謀本部によると、マオイシェンは、中国潜水艦のための海底地図製作を任務としており、その後、日本が実効支配する尖閣諸島の西を通り、東シナ海に向けて航行した。
22日に日本の南西諸島を経由して西太平洋に入ったシュパン級測量船チェン・ジンランも同じ海域を航行したと、統合幕僚監部は別の報告書で伝えた。