シベリアの投票所で「技術的ミス」、ロシア大統領選で野党候補がプーチンの10倍得票を稼ぐ
Russian District Scrambles to Correct Putin's Surprise Election Defeat
操作された聴衆?大統領選の勝利宣言をするプーチン(2024年3月18日、モスクワ) Reuters
<ロシアの大統領選挙で、現職のプーチン大統領は8割近い得票率で圧勝したが、公正な選挙の結果とは思いにくい。その綻びが出た?>
ロシアのシベリア南部にある投票所で急遽、3月15日〜17日に行われた大統領選挙の再集計が行われることになった。野党候補のニコライ・ハリトノフが現職のウラジーミル・プーチン大統領の得票数を上回ったためだと、地元メディアが報じた。
再集計が行われたのは、アルタイ共和国の都市バルナウルにある投票所1カ所だ。選挙管理委員会が「技術的なミス」を発見したからだという。この投票所では、共産党のベテラン候補ハリトノフの得票が763票で、プーチンの10倍にも達したと、独立系メディアサイトのメドゥーザが報じた。再集計後の結果はまだわかっていない。本誌は、ロシア外務省にメールでコメントを求めている。
政府系機関の全ロシア世論調査センターと世論調査基金が発表した全国の出口調査では、プーチンの得票率は87%となり、今後6年間の統治を確実にした。
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圧勝したというプーチンの主張をアメリカは「この選挙が自由でも公平でもないのは明らかだ」と批判した。投票結果には、2022年にロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ4州ならびに2014年に併合したクリミア半島の投票数も含まれている。
ロシアの選挙にはこれまで、票数操作や水増し、強制といった不正がつきものだった。プーチンを批判する強力なライバルは通常、大統領選挙への立候補を阻まれ、反対勢力は収監されるか亡命に追い込まれることが多かった。
一部の投票所で混乱
ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は昨年、ロシア大統領選挙は「あまり民主主義的ではない」とし、「金のかかる官僚的な手続きだ」と語った。そして、2024年の大統領選ではプーチンが得票率90%以上で勝利するだろうと予測していた。
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は3月18日朝(現地時間)、今回の大統領選挙での在外投票者数は37万2779人と、前例のない数に上ったと述べた。
「言うまでもなく、前代未聞の数だ」。国営テレビに出演したザハロワはそう語ったと、タス通信が報じている。一部の投票所ではかなりの混雑が起きたが、「それは何より、非友好的な国々で領事館が多数、閉鎖されたことが原因だ」と述べた。
タス通信によると、今回の大統領選挙の投票者数は記録的な水準となった。プーチンはこの勝利について、国民からの大きな支持のおかげだと述べた。
「ロシアの発展を目指して我々が立てている計画はすべて、確実に実行され、目標は達成されるだろう」。プーチンはモスクワで、記者団に対してそう語った。「我々には壮大な計画があり、それらを実行するために、あらゆる手立てを尽くすつもりだ」
(翻訳:ガリレオ)
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