ウクライナで兵力動員が難航...著名部隊「ダビンチ・ウルブス」は独自の新兵募集活動で志願者増
ウクライナ陸軍「ダビンチ・ウルブス」大隊の創設者は約1年前、ロシア軍との戦闘中に命を落とした。その肖像写真は今、首都キーウに新設された広々とした新兵採用事務所の壁に飾られ、志願者に油断のない視線を注いでいる。10日撮影(2024年 ロイター/Gleb Garanich)
ウクライナ陸軍「ダビンチ・ウルブス」大隊の創設者は約1年前、ロシア軍との戦闘中に命を落とした。その肖像写真は今、首都キーウ(キエフ)に新設された広々とした新兵採用事務所の壁に飾られ、志願者に油断のない視線を注いでいる。
ロシアによる全面侵攻開始からまもなく2年、ウクライナは将兵の損耗に悩まされており、動員計画を見直し、新兵募集の範囲を広げようと苦心している。
「ダビンチ・ウルブス」大隊の場合は、昨年3月に東部バフムト近郊で戦死するまで同大隊の指揮を執っていた「ダビンチ」、つまり戦場の英雄ドミトロ・コチュバイロ氏のイメージを活用することが、新兵募集の鍵だ。
新たに指揮官となったセルヒー・フィルモノフ氏は、先日の事務所開設式典の際に、「私たちが特に求めているのは、戦う意志があり、この部隊に加わることを望み、私たちが何を目指しているのか理解している人間だ」と語った。
また同大隊は、徴兵資格を満たすウクライナ国民に、任務地域や部隊を選ぶことができることを分かってほしいと考えている。これは当局が進めている兵役に関する全般的な改善措置の一環だ。
ウクライナは昨年6月に反攻を開始したものの大きな戦果は挙がらず、前線の大半ではロシア軍の急襲を受けている。
ウクライナによる兵力動員は難航している。汚職疑惑や、自宅に押しかけたりバスから男性たちを引きずり下ろしたりといった採用当局者の横暴が頻繁に報道されているからだ。
議会は徴兵年齢の27歳から25歳への引き下げ、徴兵忌避の厳罰化を含む法案を審議中だ。国防省も民間の募集事業者の手を借りる方向にかじを切っている。
「ダビンチ・ウルブス」大隊は志願兵で構成され、多くの前線で戦闘に参加してきた。第59独立自動車化歩兵旅団配下での再編に伴い、士気の高い歴戦の戦闘部隊としての評判を活かして、独自の新兵募集活動を行っている。
戦死したコチュバイロ氏は2014年から民族主義者部隊の一員としてロシア軍との戦闘を重ねてきた。2021年にはゼレンスキー大統領から「ウクライナの英雄」の称号を受け、葬儀には同大統領も参列した。軍で用いるコールサイン「ダビンチ」は、同氏の美術への造詣に対する敬意を反映している。