最新記事
ガザ

ガザへの支援物資搬入が急減、治安崩壊で配布困難に

2024年2月22日(木)11時26分
ロイター

パレスチナ自治区ガザに搬入される支援物資がここ2週間で急減している。パレスチナ自治区ガザとエジプトの境界にあるラファ検問所で2023年11月撮影(2024年 ロイター/Hadeer Mahmoud)

パレスチナ自治区ガザに搬入される支援物資がここ2週間で急減している。国連のデータおよび当局者の話で分かった。治安の崩壊に伴い支援物資の配布が一段と困難になっているという。

ガザへの物資輸送トラックは、紛争以前は1日当たり500台、激しい戦闘があった1月でもほぼ毎日約200台が通過していた。しかし国連のデータによれば、2月9日─20日は平均で1日当たり57台まで減少。このうち7日間は20台以下、2月17日はわずか4台だった。

ガザとエジプトの境界にあるラファ検問所経由の輸送はほぼ完全に停止。イスラエルとガザの境界にあるケレム・シャローム検問所経由では時折トラックが到着するものの、配布を阻止しようとするイスラエルのデモ隊によって頻繁に妨害されている。ケレム・シャローム検問所は2月8日─10日、15日─17日の期間に閉鎖された。

両検問所からガザに入る全てのトラックを検査するイスラエルは、支援物資の停滞は国連の要因とし、イスラエルには検査を早める用意があると指摘。ケレム・シャローム検問所のガザ側には支援物資を積んだ450台のトラックが待機しているとし、国連機関などによる「十分かつ効率的な働きがあれば、物資の配布は改善する」とした。

一方、国連はガザ内の治安が崩壊しているため、支援物資の配布が困難になっていると反論。支援物資の安全な配布を確保する責任はガザの大部分を支配しているイスラエル国防軍(IDF)にあるとし、ケレム・シャローム検問所に積み上がった支援物資は安全な配布を可能にする環境が整っていない証拠とした。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、イスラエルの空爆により少なくとも8人の警官が死亡したことを受け、パレスチナ警察は輸送トラックの護衛を中止した。

ガザ内では自暴自棄になった住民が輸送トラックを襲い支援物資を奪っているという。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 トランプショック
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月22日号(4月15日発売)は「トランプショック」特集。関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル、イラン核施設への限定的攻撃をなお検討=

ワールド

米最高裁、ベネズエラ移民の強制送還に一時停止を命令

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 4
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 5
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 6
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 7
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 8
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 9
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 10
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 10
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中