アウディーイウカ制圧後、ロシア軍の攻撃は激減、戦線維持に不安
Ukraine War Map Shows Latest Russian Advances
ショイグ国防省からアウディーイウカ掌握の報告を受けるプーチン(2月20日、クレムリン) Sputnik/Alexander Kazakov/Pool via REUTERS
<ロシア軍がアウディーイウカを掌握し、ウクライナ軍は撤退した。しかしロシア軍部隊は力を使い果たしている?>
ウクライナ東部の激戦地、ドネツク州アウディーイウカを制圧した後、周辺でのロシア軍による攻撃が大幅にスローダウンしていることが、現在の戦況を示す地図と共に報告されている。
ロシア軍に莫大な損失を強いた数カ月にわたる激戦を経て、ウクライナ軍は2月17日、アウディーイウカからの撤退を発表した。ロシアのメディアはこれを、ウラジーミル・プーチン大統領のウクライナ全面侵攻において、2023年5月にドネツク州バフムトを制圧して以来最大の成果だと盛んに喧伝している。
アウディーイウカ制圧から数日経った現在、ロシア軍は、部隊の再編成と市街からの撤収作業を行っているが、ロシア軍による攻撃は大幅に減少している。これは、ウクライナのタヴリースク部隊のドミトロ・リホヴィ報道官が伝えたものだ。同報道官は、この地域におけるロシア軍の爆撃など上空での活動が、以前よりかなり少なくなっていると指摘した。
複数のウクライナ軍幹部は、同国部隊は、事前に準備され要塞化された、新たな防衛線まで退却したと述べた。
アメリカのシンクタンク、戦争研究所(ISW)は2月19日、ロシア軍はおそらく、しばし戦闘を休止したのちにアウディーイウカ方面で再び大規模な攻撃作戦に出るか、あるいは、前線の他の区域から応援部隊を移送し、アウディーイウカ付近の戦線が限界点(攻勢をもはや継続できなくなる状況)に達するのを防ごうとする、との見方を示した。
増援はあるか
ロシア軍は、増援に使える予備隊を前線の他の場所に保有しているが、ISWでは、今のところロシア軍司令部が、これらの兵力をアウディーイウカに向けて移動させている兆候は見当たらないとしている。
ISWによって作成された最新版の地図の1つは、2月17日に投稿された位置情報を手かがりに、ロシア軍がアウディーイウカの北、西、南東で前進している状況を示している。さらにこの地図からは、アウディーイウカでウクライナ軍が防衛線を敷いていたコークス工場をロシア軍が制圧したことや、ウクライナの防衛線が現在、侵攻前には3万人が暮らしていたこの町の西に設けられていることもわかる。
ウクライナ軍のリホヴィ報道官は、ロシア軍司令部が今後まもなく、アウディーイウカ付近に駐留する部隊を、前線の他の区域に移動させるだろうと述べた。一方、ウクライナ軍ホールツィツャ部隊の報道官、イリヤ・イェヴラッシュ大尉は、実際に移動が実行に移されるまでには、少なくとも1週間はかかるだろうと述べた。