ロシア国民に「自家栽培」を奨励...プーチンがエクアドルからのバナナ輸入を禁止した理由とは?
Putin's Bananas Ban Backfires as Russians Told to Grow Their Own Fruit
ウラジーミル・プーチン murathakanart-Shutterstock
<プーチン大統領は昨年末の記者会見で珍しく謝罪。輸入品の不足と需要増大が原因で卵の値段が急騰したと述べていた>
ロシアでバナナが不足する見通しとなり、国民が自家栽培を奨励されている。2月上旬にウラジーミル・プーチン大統領は、最大の供給国だったエクアドルからのバナナ輸入を禁止した。これは兵器の移転をめぐる争いに起因しているようだ。
消費者監視機関、ロシア連邦動植物検疫局の産業専門センター長は現地メディアのガゼタに対し、あと1カ月で全国的にバナナが不足するだろうと予測。バナナの自家栽培を始めるよう国民に促した。
これに先立ちプーチン大統領は2月2日、エクアドルの5社からのバナナ輸入を停止した。バナナの貨物から害虫が検出されたことを受けた措置と説明している。その数週間前にエクアドル政府は米政府との間で、旧ソ連時代の軍装備品を米国製の新鋭兵器と交換するという2億ドル相当の取引に応じていた。
米政府によると、ロシアが2022年2月に始めた戦争が続く中、エクアドルが保有していた旧ソ連時代の装備品はウクライナに送られる。
この取引についてロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、「国外の利害関係者の圧力に屈した無謀な判断」としてエクアドルを非難。「もしそれがエクアドルの言うような『くず鉄』だったとすれば、ワシントンが新鋭装備品との交換を持ちかけるはずがない。しかも相当の量だ」と強調した。
地元メディアによると、ロシアはバナナの90%をエクアドルから輸入している。国営RIAノーボスチ通信は、ロシアの輸入禁止でエクアドルは年間最大7億5400万ドルの損失が出る可能性があると伝えた。
本誌はロシアとエクアドルの外務省に電子メールでコメントを求めている。
あと1カ月で不足に陥るという予測についてクニャツコフは、禁輸前にエクアドルから輸入され、まだロシアの店頭に出回っていないバナナがあると説明した。
ただし不足は一時的なもので、バナナの一部はインドからの輸入を確保しているものの、まだ物流面の問題があるとしている。
一時的な不足はロシア国内でのバナナ栽培で補うことができるとクニャツコフは言い、クラスノダールで熱帯植物を順化させる実験に成功したと指摘した。
ロシア全土で品薄によって物価が高騰している実態は、本誌の取材で明らかになっていた。
プーチン大統領は昨年末の記者会見で珍しく謝罪。輸入品の不足と需要増大が原因で卵の値段が急騰したと述べていた。
「この問題については申し訳なく思う。政府の仕事が追い付かなかった」。プーチン大統領は12月14日の記者会見でそう語った。「近い将来、この状況は是正されると約束する」
(翻訳:鈴木聖子)
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