「賢く闘っていない」 ヘンリー王子、ついに裁判でメディアに「敗北」...夫妻にとって、どこまで誤算?
Prince Harry vs. the Tabloids
この一連の騒動は、ヘンリーが抱える10件に及ぶ訴訟に関する彼の判断に疑問を投げかける。
メーガンが父親に宛てた私信の一部がMoS紙に公表され、プライバシーを侵害されたと訴えた裁判は、勝つには勝った。だがその過程で彼女は、「誤解を与える意図はなかった」と裁判所に謝罪しなくてはならなかった。
メーガンが、自分とヘンリーの伝記『自由を求めて』(邦訳・扶桑社)の2人の著者への情報リークをスタッフに許可したことを示す私的なメールが、法廷で公開されたのだ(メーガンの弁護士は、そうした事実はないと主張していたのだが)。
ヘンリーは昨年12月、大衆紙デイリー・ミラーを発行するミラー・グループに対する携帯電話盗聴の訴訟に勝ったが、そのときも裁判官は彼の主張の一部に疑問を抱いていた。
ヘンリーが問題としたミラー紙の記事33本のうち、15本は不法に収集した情報に基づくと認められたが、残りの18本については主張が却下された。そのうち1本について裁判官は「この種の記事に関して法廷に訴えるというのは、どのような判断によるものなのか疑問に思う」と指摘した。
結果が悪ければ大きな経済的リスクを伴う
ヘンリーは同じく電話を盗聴されたとして、大衆紙サンも訴えていた。昨年7月に盗聴の主張は退けられたが、身分を偽って接触し情報を引き出す「ブラギング」などの違法な情報収集に関する訴えは裁判にかけられる予定だ。
さらに別の大衆紙デイリー・メールを相手取った電話盗聴の訴訟も、まだ進行中だ。「電話盗聴訴訟について彼はかなり成功している」と、スティーブンズは言う。「まず、ミラー紙は全てで勝つことはできなかった。次はサン紙、その次はMoS紙だ。それぞれの裁判には、前の裁判の結果が影響するだろう」
だがミラー紙を相手取った裁判では、たとえヘンリーが勝訴しても高額の見返りを手にできないことも分かった。
ヘンリーには14万ポンド(約2600万円)の賠償金が支払われるが、そこから訴訟費用を払うことになる。イギリスの民事訴訟では、裁判費用が損害賠償額を上回ることが珍しくない。いくつもの訴訟を同時に起こしたヘンリーの戦略は、結果が芳しくない場合には大きな経済的リスクを伴うことになる。
それでもスティーブンズは、ヘンリーは裁判まみれになっている今を、後に人生の価値ある一時期として振り返るだろうと考えている。
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