「株式会社ハマス」の時価総額は5億ドル超、世界各地の系列企業の資金網がガザを支える
HAMAS, INC.
■スーダン
スーダンを拠点とする大富豪で、ハマスに資金を出しているアブデルバシット・ハムザ・エルハッサン・モハメド・ハイルは「アルカイダやウサマ・ビンラディンにつながるスーダン企業との関係が深く、テロ組織への資金調達に長年関与」している。
これは米財務省が23年10月18日にハイルを制裁対象とした際の説明だ。
ハイルはスーダンに本社を置くザワヤ・グループのCEO兼オーナーでもあり、この会社も同じ日に米政府の制裁リストに加えられている。
米財務省によると、ハイルはラリーコム・インベストメント・カンパニーというスーダン企業も所有し、やはりCEOを務めている。この会社も米政府の制裁対象だ。
トルコ国籍のカフィシェはスーダンでの事業にも深く関わっている。
トレンドGYOが公募増資に当たって提出した資料によると、カフィシェは00年にスーダンへの投資を開始し、10年以降は首都ハルツームにあるハイル所有の2社、アグロゲート・ホールディングとアルルワド・リアルエステートの取締役を務めている。
両社とも今は米政府の制裁対象に加えられている。
トルコ財務省への提出書類によると、06年に同国で不動産投資を開始したアルルワドを通じて、カフィシェは「トルコで多数の住宅、オフィス、商業ビルの予備調査と建設」に参加してきた。
また米財務省によれば、彼はアグロゲートの役員とアルルワドの会長も務め、「アグロゲートの幹部候補の面接・採用」にも関わっていたとされる。
アグロゲートは10年以上にわたり、スーダンの建設業界をリードしてきた企業の1つだが、その親会社は前出のザワヤ・グループだ。
同グループが09年にスーダン政府と、スーダン~エジプト間の幹線道路の建設と運営を請け負う40年契約を結んだ際に、そのプロジェクトの受け皿として設立されたのがアグロゲートだ。
一方でアルルワドは、米財務省によると、スーダンを拠点とする複数のハマス系企業が合併して10年に誕生した。
米財務省によれば、カフィシェはこの会社でも「雇用と解雇に関する決定権を持ち、同社の財務にも関与」していた。
■スペイン
ハマスのグローバルな資金調達網は拡大を続けている。
次なる拠点は、どうやらスペインらしい。
スーダンを拠点とする大富豪ハイルはスペインに「ザワヤ・グループ開発投資」なる企業を設立している。
ただしこの会社も、昨年10月に米政府の制裁対象となった。
ハマスはなぜ、ヨーロッパにまで進出しようとするのか。
中東では監視の目が厳しく、動きにくいという事情があるのかもしれない。