最新記事
UAP

証拠が1、2年後には発見も!?地球外生命の研究は「痕跡」を探す科学的分析へ

Are We Really Alone?

2024年2月2日(金)17時08分
エリー・クック
宇宙のどこかに「仲間」が見つかる日

PHOTO ILLUSTRATION BY RASTANーISTOCK

<SF小説でしか相手にされてこなかった地球外生命探しに、アメリカ政府と専門家が本腰を入れ始めた。調査組織が次々と立ち上がり、NASAもUFOに関する公開討論会を開催>

早ければ1~2年後にも、地球外生命の存在を裏付ける証拠が見つかるかもしれない──。アメリカの専門家たちの間でそんな見通しがささやかれ始めた。

なにしろ今や専門家も政治家も、未確認異常現象(UAP)探しに夢中なのだ。

UAPとは、UFO(未確認飛行物体)よりも幅広い現象をカバーする表現だ。

「われわれが生きている間に、あるいはひょっとするともっと早く、別の惑星に生命が見つかると思う」と、NASAゴダール宇宙研究所の惑星科学者であるラビ・コッパーラプは語る。

ハイテク技術を駆使してUAPを研究するハーバード大学の「ガリレオ・プロジェクト」を率いるアビ・ローブ教授も、未知の現象に関するブレークスルーと言える証拠が、1~2年以内に見つかる可能性は「十分ある」と語る。

「ガリレオ・プロジェクトは、完全に制御された測定器を使って、長期にわたりUAPを体系的に分析する初の科学プロジェクトだ」とローブは胸を張る。

「これまでやったことのないアプローチを取ると、比較的簡単に成果が得られることが多い。今回もそう思っている」

少し前までは、研究者の世界でも政治の世界でも、地球外生命の話題はマイナーな扱いを受けていたが、今は新聞の見出しを飾るほど大きな注目を浴びている。

このため「宇宙人」、あるいはなんらかの生命の存在を探る試みには、これまでにない追い風が吹いている。

米国防総省などの組織は長年、さまざまな未知の現象を記録してきたが、それが地球外生命と関係しているという確固たる証拠は見つかっていない。

それでも、米海軍が公開したドラマチックな映像や退役軍人らの証言が大きな注目を集めている。

夜空を科学的に観察

こうした関心は今後も高まる一方だろうと、コッパーラプは言う。

実際、過去1年半の間に、地球外生命やUFOの目撃情報を詳しく調査する組織やプログラムが次々と立ち上がった。

NASAも昨年5月に初めて、UFOに関する公開パネルディスカッションを開いた。

専門家は、過去に見落とした現象に目を向けたり、これまでになく体系的に夜空を観察することを提案する。

「(UAPの研究に)関わりたい人が増えている」と、コッパーラプは語る。

「関心は高まる一方だ」

これには衝撃的な「内部告発」も影響している。

米国防総省傘下の情報機関でUAPの分析に携わっていたデービッド・グラッシュが、米政府は「人間ではない」物体と「無傷または部分的に無傷の」宇宙船を回収して、隠しているとメディアに語ったのだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、国際水域で深海採掘へ大統領令検討か 国連迂回で

ビジネス

ソフトバンクG、オープンAIに最大5.98兆円を追

ビジネス

2月完全失業率は2.4%に改善、有効求人倍率1.2

ワールド

豪3月住宅価格は過去最高、4年ぶり利下げ受け=コア
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中