最新記事
ウクライナ戦争

屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

HIMARS Strike Wipes Out Concentration of Russian Troops, Video Shows

2024年2月23日(金)15時41分
イザベル・ファン・ブリューゲン
米軍のHIMARS(高機動ロケット砲システム)

米軍のHIMARS(高機動ロケット砲システム)(2022年9月) U.S. Army photo by Sgt. Lianne M. Hirano via ABACAPRESS.COM

<ウクライナ軍のHIMARSによる攻撃の瞬間とされる映像には、兵士が集まる場所で大規模な爆発が起きる様子が捉えられている>

ウクライナ南部ヘルソン州のロシア支配地域で2月21日、ウクライナのHIMARS(高機動ロケット砲システム)による攻撃で多数のロシア軍兵士が死亡したと、ウクライナメディアが報じた。テレグラムには、この攻撃の様子だとされる映像が公開されており、そこには開けた場所に集まった兵士たちが爆撃を受け、爆発に巻き込まれる瞬間が捉えられている。

■【動画】閲覧注意:HIMARS「ロケット砲」攻撃が、集合したロシア兵士たちに「直撃」...衝撃の瞬間映像

この報道の数時間前には、ウクライナ東部の前線近くで、同国がHIMARSで訓練場を攻撃し、ロシア兵数十人が死亡したと伝えられていた。ウクライナは米国から供与されたHIMARSにより、ロシアの最新鋭対空ミサイルシステムを破壊している。2023年10月には、HIMARSによるロシア軍大隊への攻撃直後の様子とされる映像が公開された。

ウクライナのOSINT(オープンソース・インテリジェンス)プロジェクト「ディープステート」は、この攻撃はロシア占領下のヘルソン州にあるポド・カリニフカ村に近い訓練場に対して行われたと伝えた。BBCロシア・サービスも、ウクライナ特殊部隊の情報筋の話として、同地で攻撃が実行されたと報じた。

なおテレグラム上の攻撃映像について、信ぴょう性は確認できておらず、本誌はロシアとウクライナの当局に電子メールでコメントを求めている。

ウクライナメディア「Zerkalo Nedeli」は、一連の攻撃で少なくとも60人のロシア兵が死亡したと伝えている。クレムリンはこの攻撃についてコメントしていない。

HIMARSで連日攻撃、ロシア兵を「一掃」

ウクライナ人活動家セルヒー・ステルネンコはX(旧ツイッター)への投稿で、「ヘルソン州のポド・カリニフカ近くで多数のロシア兵が一掃された」と記し、HIMARSの攻撃で「全員は生き残れない」と述べた。

キエフ在住の外交アナリストで安全保障専門家でもあるジミー・ラシュトンは、「ウクライナのHIMARS/GMLRS(誘導式多連装ロケットシステム)が、訓練場に集まっていたロシア兵を攻撃した。今回はヘルソン州だ」と述べ、「かなりの数の死傷者が出ているのは明らかだ」と指摘した。

これに先立ち、ウクライナ南部の政府高官セルゲイ・ブラチュクは、同国軍が東部ドネツク州ボルノバーハに近いロシア軍の訓練場をHIMARSで攻撃したと明らかにしていた。ブラチュクは2月20日、ロシアの第39独立機動ライフル旅団の部隊が駐屯していたトルドウスケ村近くで、攻撃によりロシア兵約65人が死亡したとテレグラムに投稿した。

ブラチュクは、HIMARS攻撃の「結果」だとする生々しい映像を公開したが、映像の信ぴょう性は確認できていない。

またBBCロシア・サービスは、複数の匿名の情報筋の話として、ウクライナ軍が複数のミサイルを使用して攻撃を行ったと報じている。

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏

ワールド

訂正-米テキサス州のはしか感染20%増、さらに拡大

ワールド

米民主上院議員、トランプ氏に中国との通商関係など見

ワールド

対ウクライナ支援倍増へ、ロシア追加制裁も 欧州同盟
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中