アメリカの強固な台湾支援を覆すかもしれない1つの要因
US RESOLVE
中国が繰り広げる3面攻撃
これに対して中国は、主に3方面からアメリカに挑戦している。まず、急速な軍の近代化により、領土拡張主義的な行動を取り、インド太平洋地域におけるアメリカの優位を揺さぶっている。第2に、国を挙げて外国企業の知的財産権窃盗や技術移転を推進している。そして第3に、経済力を武器に、大規模なインフラ投資などにより諸外国を影響下に置き、国際秩序を揺さぶっている。
台湾は、アメリカがこの3つの挑戦全てに対抗する上で、これまで以上に重要な位置を占めるようになった。そもそも台湾は、中国の敵対的な伸張を抑える上で、地理的に極めて戦略的な場所にある。また、台湾のハイテク産業は、アメリカが中国との経済競争を続ける上で決定的な役割を果たしている。そして台湾が政治的には民主主義で、活発な市場経済を持ち、国際規範を尊重していることは、アメリカが既存の国際秩序を守る上で重要な意味を持つ。
もちろん中国は、そんな台湾に対して軍事的、外交的、経済的に猛烈な圧力をかけている。このためアメリカは、これまで以上に台湾への支援を強化してきた。過去には中国の機嫌を損ねないように、台湾との関係を目立たないようにしていた時期もあったが、今は昔の話だ。米政府では台湾を軍事的、外交的に支援する動きが着実に進んでいる。
なによりジョー・バイデン大統領自身が、もし中国が台湾を軍事攻撃した場合、アメリカも軍事的に台湾を援護すると繰り返し明言している。ただ、具体的な措置は、アメリカが1970年代から維持してきた「一つの中国」という立場(つまり台湾を支援しつつも、独立を後押しするわけではない)を踏まえた措置になるだろう。
もしトランプが復活したら
米政府高官は、イスラエルとハマスの戦争や23年11月の中国の習近平(シー・チンピン)国家主席とバイデンの首脳会談を受け、台湾への軍事支援を強化するとともに、中国の台湾に対する軍事的・経済的威嚇行為に対抗する姿勢を強めている。
今回の総統選で民進党の頼清徳副総統が勝利すれば、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が築いたアメリカとの緊密な関係が維持されるだろう。頼の最大の対立候補である侯友宜(ホウ・ヨウイー)新北市長が属する中国国民党(国民党)は、定期的に中国共産党と交流があり、伝統的に親中国の党とみられてきた。