最新記事
世論調査

ウクライナ、交渉による戦争終結を望む世論が半数に

Nearly Half of Ukrainians Open To 'Compromise' With Russia To End War: Poll

2023年12月5日(火)19時14分
ブレンダン・コール
兵士の家族たち

「パパを返して」──兵役が長過ぎると抗議する兵士の家族たち(11月12日、キーウ) REUTERS/Thomas Peter

<クリミア半島やウクライナ東部などロシアに奪われた領土の奪還に必ずしも拘らないという人も約半分。戦争継続はいつまで可能なのか>

【動画】待ち伏せ攻撃を仕掛けるロシア兵を、ウクライナのスナイパーが「凄技」狙撃で撃退した瞬間

 

ロシアとの交渉による和平を支持する――世論調査によれば、ウクライナでは過去9カ月でこうした考え方が急速に広まり、今では国民の半数近くを占める。

厳しい冬が迫り双方に多大な損失を出しながらも、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が停戦や和平へ向けた交渉を始める兆しはみられない。

ゼレンスキーは、ロシアが占領しているウクライナ東部ドンバス地方と、同じくロシアが2014年に一方的に併合したクリミア半島を奪還することが戦争のゴールだと繰り返し述べてきた。目標を達成するまで戦闘を続ける決意だ。

だがウクライナの独立系調査機関「レイティング」が実施した世論調査では、交渉による解決を支持するウクライナ国民が、今年2月の時点よりも増えていた。この調査結果は、ロシアとウクライナの両国で広く報じられた。

若者とウクライナ東部に多い妥協派

11月に実施されたこの調査では、回答者の44%が「第三者の仲介のもと交渉を行い、妥協と解決を模索する」と回答した。ロシアとの戦闘開始から1年経った今年2月の時点では、交渉による解決を支持した人は35%に過ぎなかった。

ロシアに占領された領土を奪還するまで戦闘を続けることを支持するウクライナ国民の割合も、この1年で減少傾向にある。2月の時点では、回答者の60%が「全ての領土を奪還するまで」戦闘を続けるという考えを支持したが、11月の調査ではその割合は48%に減少した。

ウクライナのニュースサイト「ストラナ」は調査結果を報道する中で、和平のためには妥協を支持するという回答は15~35歳の若者(支持者の45%)とウクライナ東部の住民(51%)が多いと指摘。より年配のグループ(36~50歳)とウクライナ西部の住民は、いずれも50%が戦闘の継続を支持した。

調査の誤差範囲は公表されておらず、本誌はレイティングとウクライナ大統領府にコメントを求めたが返答はなかった。

試写会
カンヌ国際映画祭受賞作『聖なるイチジクの種』独占試写会 50名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中