イタリアに続きフィリピンも、中国「一帯一路構想」を離脱する意向
Why the Philippines Is Quitting China's Belt and Road Initiative
フェルディナンド・マルコス大統領が率いるフィリピン政府は7月、先述した3つの主要鉄道プロジェクトに関して、中国が請負業者の候補リストを提供していないことを理由に、再交渉を命じていた。
中国との当初の合意は、マルコスの前任者で、中国寄りの姿勢を見せていたロドリゴ・ドゥテルテ前大統領のもとで締結されたものだった。しかし、マルコスが大統領に就任した後、両国の関係は冷え込んでいる。中国の沿岸警備隊にあたる海警局や漁船団が、これまでフィリピンの漁場とされてきた海域に侵入する行為や、中国海軍の「攻撃的な行動」に対して、マルコスが断固たる態度を示していることがその理由だ。10月後半には、スプラトリー諸島で中国船とフィリピン船の衝突事件も発生した。
今回のフィリピン運輸省による発表は、中国が掲げる一帯一路構想に対して、一部の国の関心が低下している中で行われた。同構想に関しては、相手国を中国の借金で首が回らなくする「債務の罠」外交だとの批判が生じているだけでなく、融資の実績も期待外れに終わっている。
イタリアのジョルジャ・メローニ首相は9月、中国との貿易不均衡が続いていることを理由に、一帯一路構想からの離脱を検討していると述べた。
10月の一帯一路フォーラムでは、フィリピンのマルコス大統領が欠席したことも注目を集めた。2017年に開催された前回の同フォーラムには、37カ国の首脳が出席したのに対し、今回は23カ国にとどまっている。