アフガン人の不法滞在者約170万人の「一掃」に乗り出したパキスタン...今回の措置の意図とは?
国境にはアフガニスタンに帰国する移民の列が THE NORWEGIAN REFUGEE COUNCILーHANDOUTーREUTERS
<苦境にあるアフガニスタン人移民が、地政学的思惑の犠牲に>
パキスタンが、アフガニスタン人の不法滞在者約170万人の「一掃」に乗り出した。11月1日までに国外退去しなければ逮捕・強制送還すると、当局は発表。10月31日時点で既にアフガニスタン人約14万人が出国したという。
タリバン支配下のアフガニスタンで、帰国者を待つのは人道危機だ。1500万人が深刻な食料不足に陥っている。
パキスタンは長年、アフガニスタン人の最大の避難先だった。2021年のタリバン復権後は少なくとも60万人が隣国へ逃れたが、職を奪う彼らを敵視する向きもある。
パキスタンは経済危機と、武装勢力パキスタン・タリバン運動(TTP)のテロ再燃に悩まされている。ブグティ暫定内相は先頃、国内のアフガニスタン人が組織犯罪やテロに関与していると非難した。
今回の措置には、テロ対策協力強化をタリバンに迫る意図もあるかもしれない。苦境にあるアフガニスタン人移民が、地政学的思惑の犠牲になっているわけだ。
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