NZ右派政権の誕生へ:対中外交の舞台裏と「疑惑」の新局面
Kiwi’s Pivot Right
癒着疑惑の中国系議員
ブラウンリーは、国連が昨年、中国によるウイグル弾圧を非難する報告書を発表したことを受けて、中国の活動を擁護さえした。
報告書について彼は、「私の心を最も打ったのは、中国政府の活動の一部が新疆ウイグル自治区でのテロ活動を防止する目的だったと認識されたことだ」と述べ、中国政府の対テロ活動の背後にある意図は「ニュージーランドの法律の意図と大きく変わらない」と明言した。
ニュージーランドの対中姿勢は隣国のオーストラリアと比べ、国の規模が小さく中国が関係を断ちやすいことから、常により穏健だ。中国にとってニュージーランドの乳製品と食肉は他国からの輸入で代替が可能だが、オーストラリアの鉄鉱石はそうはいかない。
しかし、国民党の中国との癒着に対する疑念は、元国会議員のジャン・ヤンの問題が明るみに出て以来、強まっている。
11~20年まで議員を務めたヤンは、外交、国防、貿易の特別委員会の委員を務めていた。17年に地元メディアのニュースルームとフィナンシャル・タイムズ紙が共同で行った調査報道によると、中国生まれのヤンはニュージーランドに移住する前に15年間、中国軍の情報機関で働いていたという。
ヤンは、ブラウンリーと国民党党首だったサイモン・ブリッジスと、中国公安省の郭声琨(クオ・ションクン)元省長との北京での会合を手配したこともある。彼はニュージーランドの外務当局者に会合の計画を知らせず、関与もさせなかった。そして、自身に対する当局の調査結果が出る前に、20年に政界から引退した。
国民党はヤンに対する調査や、中国共産党とつながりのある国内の中国コミュニティーからの党への献金について見直したことがない。国の保安情報局が8月に発表した報告書で、中国の情報機関が内政干渉を行っていると非難しているにもかかわらず、だ。
国民党は議長候補ともみられているブラウンリーではなく、ピーターズを外相に任命する可能性もある。ニュージーランドの新たな外交政策を形成するために、アメリカとオーストラリアの当局者が誰を望んでいるかは明白だ。
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