【MVP記念】100年の歴史に残る2023年の大谷翔平、その軌跡と舞台裏――地元紙の番記者による独占レポートを全文公開

ONE FOR THE HISTORY BOOKS

2023年11月18日(土)18時10分
ジェフ・フレッチャー(オレンジ・カウンティー・レジスター紙記者)

投手として、あるいは打者としてMLBで通用する才能に恵まれるだけでも十分に稀有なことだが、二刀流はさらに難しく、両方のスキルを同時に磨く必要がある。

投手としてメジャー級に達しても、打者としてはマイナーのレベルだったら、その人は打席に立ち続けるチャンスはない。メジャーでは投手オンリーで起用されることになるからだ。


加えて、選手は自分の体の声も聞かねばならない。きつい仕事だ。けがもそうだし、疲労の蓄積もある。

同僚のサンドバルが言う。「メジャーで先発投手だったら、登板の翌日や翌々日は体を動かすのもしんどい。ところがショーヘイは平気で2番とか3番を打つ。その肉体的な負担がどんなに重いか、説明できる人はいないだろう。とにかく想像もつかないから」

こういう声を聞くと、やはり大谷はただ者ではないと思う。彼は、この100年で誰も成し遂げられなかったことを2年続けて成し遂げただけではない。他チームの現役大リーガーからもたくさんの称賛を浴びている。

2つだけ、最後に紹介しよう。

彼は誰とも比べられない。野球史上で最も有能な選手だと思う
――サンフランシスコ・ジャイアンツの投手ローガン・ウェブ

野球の歴史を通じて最高の選手の1人だ
――2度のMVPに輝くフィラデルフィア・フィリーズの外野手ブライス・ハーパー

(筆者はエンゼルスの地元紙で大谷の番記者を担当。MLB取材歴26年。米野球殿堂入りを決める投票資格も持つ。近著にベストセラーとなった『SHO -TIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男』〔22 年、徳間書店〕がある)Arranged through Tuttle-Mori Agency, Inc.

【関連記事】
【独自】祝ホームラン王!「最強の戦友」マイク・トラウトに聞く、大谷翔平の素顔
大谷翔平の活躍は効果大? MLB観客動員数が大幅増加...その本当の理由
再契約か新天地か、注目される大谷翔平「争奪戦」の行方...大本命はあの球団?

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは154円台を上下、トランプ関税や日

ビジネス

英企業信頼感、1月は1年ぶり低水準 事業見通しは改

ビジネス

基調物価の2%上昇に向け、緩和的な金融環境を維持=

ワールド

米運輸長官、連邦航空局の改革表明 旅客機・ヘリ衝突
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 9
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 10
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中