最新記事
イスラエル

ハマスに殺害された人質女性についてイスラエル大統領自らが語った凄惨なディテール

Shani Louk beheaded by Hamas, Israel says

2023年10月31日(火)16時07分
ジュリア・カルボナーロ

人質解放を求める集会で掲げられたルークの写真(中央)(10月28日、テルアビブ) REUTERS/Ammar Awad

<遺族も言及していない殺害時の詳しい情報を、イスラエル大統領や同外務省が率先して語った>

<動画>ハマスの奇襲を受けた音楽フェス、車載カメラが捉えた攻撃、処刑、略奪

10月7日にイスラム組織ハマスに拉致されて人質になっていたとみられる、ドイツ系イスラエル人のシャニ・ルーク(22)について、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領は、ハマスに首を切り落とされて死亡したと述べた。

ハマスがイスラエルに奇襲攻撃を仕掛けてから約3週間、タトゥーアーティストであるルークの消息は分かっていなかった。彼女はガザ地区から近い砂漠で開催されていた野外音楽フェスティバルに参加しており、この会場を襲ったハマス戦闘員らに拉致されたうちの一人だと考えられている。

ソーシャルメディア上に出回っていた動画には、ハマスの戦闘員が乗るピックアップトラックの荷台に半裸で意識がない状態のまま乗せられて連れ回される女性の姿が映っており、家族はこの女性がルークだと確認した。動画の中の女性はうつ伏せで顔が見えなかったが、足に入ったタトゥーで本人と分かったという。


家族はイスラエル当局から、ルークが死亡したという連絡を受けたと言っている。彼女がいつ、どのように死亡したのか、家族は詳しい情報を明らかにしなかったが、ヘルツォグは、ルークが10月7日の奇襲攻撃の後に首を切り落とされて死亡したと述べた。本誌はヘルツォグのこの主張について、信ぴょう性を確認することはできなかった。

頭蓋骨の一部が発見された

ヘルツォグはドイツの日刊紙ビルトに対して、「シャニ・ニコル・ルークが殺害されて死亡したという情報が入った。とても残念だ。彼女の頭蓋骨が見つかった」と述べ、さらにこう続けた。

「イスラエル人を襲い、拷問して殺したあの野蛮でサディスティックな獣たちが、彼女の頭部を切り落としたことを意味している。とても悲惨な出来事であり、ご遺族には心よりお悔やみ申し上げる」

ヘルツォグはまた、「私たちがガザとイスラエルの境界地帯で目にしたことは、虐殺を遥かに超えた行為であり、まさに屠畜場だ。道路には血が流れていた。私たちは、想像し得る中で最も恐ろしい惨事を目の当たりにしている」とつけ加えた。

イスラエルの地元紙タイムズ・オブ・イスラエルは、ルークの家族がイスラエルの救助団体「ZAKA」からの手紙でシャニの死を知らされたと報じた。ZAKAの説明によれば、彼らは頭蓋底部の骨を発見。この部分の骨なくして生存は不可能であり、調べたところ骨はシャニ・ルークのものと特定されたということだ。本誌はこの情報の信ぴょう性を確認できていない。

家族はルークが発見された状況について明らかにしていないが、彼女が死亡したことは認めた。シャニの姉妹のアディはインスタグラムに、「悲しいことに、2023年10月7日にイスラエルの農業共同体キブツ・レイムのパーティー会場で起きた大虐殺に居合わせた姉妹のシャニ・ニコルが亡くなったことをお知らせします」と投稿した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 7
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中