アメリカがウクライナを見捨てる日...米大統領選が戦争の結果に影響か?
THE WAR OVER THE UKRAINE WAR
今回の戦争へのバイデンの対応は支援継続に対する「議会超党派の支持を台無しにしている」と、共和党のマイケル・マコール下院外交委員長は言う。「極めて重要な兵器システムの提供の遅さは紛争を長引かせるばかりか、中国共産党のような敵に弱さを示してもいる」
共和党主流派の候補者であるペンス、ニッキ・ヘイリー元米国連大使、ティム・スコット上院議員、クリス・クリスティー前ニュージャージー州知事という穏健派4人も、欧米の強固なウクライナ支援の継続を求めてきた。だが支持率は全員1桁で低迷し、大半の調査で4人合わせて15%未満だった。対するトランプは、ほとんどの調査で支持率50%超とトップ。彼以外で常に10%を超えている候補はデサンティスだけだ。
問われる戦闘継続の条件
今のところ、来年の大統領選で政権交代が実現すれば、ホワイトハウスの次の主人はウクライナ問題に関してバイデンと異なった、そして米主流派とは懸け離れた意見の持ち主になる可能性が高い。
だがトランプの返り咲きは早期の戦争終結を意味するとは限らないと指摘するのは、トランプ前政権でNSCのウクライナ担当を務め、いわゆる「ウクライナ疑惑」をめぐってトランプの1度目の弾劾訴追につながる証言をしたアレクサンダー・ビンドマン元米陸軍中佐だ。
「ウクライナは、力が続く限り戦闘を続けるしかない」と、ビンドマンは本誌に語った。「アメリカが孤立主義に転換し、ウクライナにもう1ドルの支援も行わないとしても」その点は変わらないはずだという。
25年以降もウクライナが国を守る戦いを継続するには、これまでと同じレベルの支援を、別の形で獲得することが必要になるかもしれない。
専門家らが言うとおり、政権を率いるのがトランプなら、バイデンのように国際的なウクライナ支援体制をまとめ上げるとは思えない。だが米戦略国際問題研究所の客員研究員で、欧州政策に詳しいマチュー・ドゥロワンに言わせれば、「アメリカ・ファースト」によって欧米関係が冷え込んだ場合、ウクライナの近隣国が役割を拡大する可能性がある。
「アメリカが支援をやめたら、欧州各国に穴埋めができるかどうかはまだ分からない。しかし、少なくともそうしようとする動機はある」