イスラエルの風光明媚な農場キブツが地獄に...... ハマスの襲撃受けた集落の惨状
路上のあちこちに遺体が横たわり、バスケットボールコートの外には遺体の収容袋が並べられ、破壊されたベビーベッドが全焼した家の外に放置されている。Reuters Japan / YouTube
破壊されたベビーベッドが全焼した家の外に放置されている。路上のあちこちに遺体が横たわり、バスケットボールコートの外には遺体の収容袋が並べられている。至る所から死のにおいが放たれている。
ほんの数日前まで、この場所は風光明媚で静かなイスラエル北西部のキブツ(農業共同体)だった。クファル・アザは750人ほどが暮らすコミュニティーで、住民の多くは幼い子どもを育てる家族だ。だが7日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが攻撃し、住宅は焼け、村は破壊された。
「母親、父親、赤ちゃん、若い家族がベッドの上や防護室、ダイニングルーム、庭で殺された」とイスラエル軍に長年所属するイタイ・ベルブ少将が10日、話した。自宅で殺害された住民の遺体を一軒一軒回収するベルブ氏は、明らかに動揺していた。
「戦争でも、戦場でもない。これは大虐殺だ」とベルブ氏。中には首をはねられていた犠牲者もいたという。
「軍に40年間所属してきたが、これまでこんな状況は見たことがない」
ガザ地区からわずか3キロの場所にあるクファル・アザは、ハマスのイスラエル南部に対する攻撃で最も大きな被害を受けた地域の一つだ。イスラエル当局は、ハマスによる攻撃で少なくとも1000人が死亡し、その多くは自宅や路上、ダンスフェスティバルで銃殺された一般市民だとしている。
パレスチナ当局は、イスラエルによる報復攻撃で少なくとも830人のガザ住民が命を落とし、複数の地区が完全に破壊されたと発表した。
クファル・アザへの攻撃から生き延びたアビドル・シュワルツマンさん(38)は、イスラエル兵に助け出されるまでの間、妻と1歳の娘と共に自宅の防護室に20時間以上隠れていたという。救出後に見た光景は「真の地獄」だったと明かす。
「至る場所に遺体があった。ありとあらゆる場所に遺体が横たわっていた」とシュワルツマンさんは言う。
「私たちの小さな楽園や天国が、全て焼かれてしまうのを目の当たりにした。燃やされ、血まみれになってしまった」