「被害者」のイスラエルに対し中国ネット民は反ユダヤ的言説で応酬、イスラエル大使館はコメント欄を閉鎖する事態に
China's Social Media Pushes Back on Israel's Online Appeals
ハマスの攻撃で命を落としたイスラエル軍兵士の葬儀(10月9日、テルアビブ) REUTERS/Hadas Parush
<中国ネットで古臭いユダヤ人陰謀説が息を吹き返した>
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在中国イスラエル大使館が週末、公式SNSのコメント欄の閉鎖に追い込まれた。パレスチナのイスラム組織ハマスのイスラエル攻撃を非難する投稿をしたところ、中国人ネット民から憎悪に満ちたコメントが相次いだためだ。ある研究者は本誌の取材に対し、中国のオンライン言論は、差別の「肥だめ」のようになっていると語った。
イスラエルに対する大規模攻撃が始まったのは10月7日。ハマスは、数千発のロケット弾を発射する一方、境界のフェンスを破ってイスラエル側に侵入し、民間人100人以上を人質に取った。ハマスのロケット弾攻撃と、イスラエル軍の報復攻撃による死者は少なくとも1300人に達しており、アメリカ人も9人が命を落とした。
ハマスの戦闘員は、同日多くの若者を集めて行われていた音楽フェスを襲撃し、260人以上を殺害、100人以上の参加者を拉致した。ある動画では、フェス参加者の1人(25歳のノア・アルガマニと判明)が、ボーイフレンドから引き離されてバイクの後ろに無理やり乗せられる様子が捉えられていた。
在中のイスラエル大使館はこうした蛮行を非難し、犠牲者との連帯を示す投稿を「微博(ウェイボー)」に行った。アルガマニの動画もシェアし、この女性は中国とイスラエルの血を引いているとコメントした。「彼女は娘であり、姉妹であり、友人だ」
だが、中国ネット民の反応は予想外のものだった(現在ではこれらのコメントは非表示になっている)。犠牲者に哀悼の意を示す者もいたが、冷淡な意見や、あからさまに憎悪をぶつける者もいた。
「当然の報いだ」
「ウクライナ人を支持するなら、パレスチナ人のことも支持するべきだ!」
「ユダヤのナチたちは、パレスチナ人を毎日虐殺している。さあ行け、ハマス、同胞たちよ、ユダヤのナチどもを、国のために殺せ!」
別の中国人は、イスラエルが攻撃を受けたのは当然の報いだと指摘した。2006年、レバノンのシーア派武装組織ヒズボラとイスラエルが戦っていたとき、国連レバノン暫定駐留軍に参加していた中国人の杜照宇が誤爆を受けて死亡した件について、イスラエルがまだ謝罪していないからだという。
9日の時点で、中国のイスラエル大使館は公式微博アカウントへの新規コメントは止めたままだ。既存のコメントについては、イスラエルの立場を支持するひと握りのコメントだけを掲載している。
中国のSNSは、「人種差別、外国人排斥、有害なナショナリズムの肥だめ」と化している──こう指摘するのは、テルアビブ大学付属安全保障研究所(INSS)の研究者トゥヴィア・ゲリングだ。中国政府は、最先端の監視技術を用いて常時国民の言動を見張り、検閲しているが、人種差別や外国人排斥に関してだけはなぜか「言論の自由」がある。とくに中国共産党の公式見解と一致している場合はそれが顕著だと、ゲリングは本誌に語った。