ロシア「最新鋭」戦闘機が撃墜された瞬間の映像...撃ち落としたのは、なんと自国の防空システムの「ミス」
Russian Su-35 Fighter Jet Downed by Own Air Defense, Video Appears to Show
ロシア軍のSu-35戦闘機(2017年7月) Sergei Karpukhin-Reuters
<ロシア軍機が自軍のミスで墜落するケースが頻発しており、5機に1機以上は「自損事故」との分析データもある>
ウクライナとの戦争に、最新鋭の戦闘機を投入しているロシアだが、そのご自慢の戦闘機が撃墜されてしまう映像が撮影された。しかも、そのSu-35戦闘機を撃墜したのは、ロシア自身の防空システムだったという。実際、ロシア軍ではこうした「ミス」による自損事故が繰り返し起きている。
■【動画】まさか自国の防空システムに撃たれるとは...ロシア最新鋭Su-35戦闘機が撃墜される瞬間
映像が撮影されたのは、ロシア占領下のウクライナ南部ザポロジエ州トクマク周辺だという。ロシアとウクライナの軍事ブロガーたちや、公開情報分析を行うソーシャルメディアアカウントは9月29日、ロシアの防空システムがこの地域で自国のマルチロール戦闘機スホーイSu-35を撃墜したと伝えた。
ロシア当局はこの件について発表をしておらず、本誌は映像について独自に検証できていない。ただ本誌が8月に集計・分析したデータによると、ウクライナ侵攻開始後に破壊が確認されているロシアの有人機とヘリコプターのうち、5機に1機以上は「自損事故」で墜落していた。
ロシア軍機が自軍のミスで墜落する確率は際立って高く、不十分な訓練時間、経験豊富なパイロットの不足、絶え間ない戦闘の重圧といった要因があると、欧米のアナリストらは指摘している。
オランダの公開情報分析サイト「Oryx」は、ロシアはウクライナ侵攻開始以来、スホーイSu-35を少なくとも4機失っているとする。
欧米製の戦闘機と戦うため「特別に設計」
ロシアは、4.5世代戦闘機と位置付けるスホーイSu-35を、ウクライナでの戦闘に多用している。Su-35はSu-27戦闘機を近代化したもので、ロシア政府が大半を所有する航空宇宙・防衛企業の統一航空機製造会社(UAC)によれば、「空、陸、海の標的に対する交戦効果を著しく高める」ように設計されている。Su-35の初飛行は2008年2月に行われたという。
元英国軍人のフランク・レドウィッジはスホーイSu-35について、ロッキード・マーチン社製のF-16のような欧米製の戦闘機と戦うために「特別に設計された」と本誌に語っている。
トクマク周辺は、本格的な戦闘開始から数週間でロシア軍に占領され、6月に反転攻勢を開始したウクライナにとっては、ロシア占領下の要衝地メリトポリを奪還するための重要な中継地だ。ウクライナは、メリトポリからアゾフ海沿岸まで突破しようとしている。
米シンクタンクの戦争研究所は9月26日、ロシアがザポロジエとトクマクの戦線の間に、第70連隊と第71連隊を配備している可能性が高いと発表した。
一方、ウクライナ軍の南部前線で指揮を執るオレクサンドル・タルナフスキー将官は9月22日、CNNに対し、同国がトクマクを奪取できれば、大きな突破口を開くことができると語っている。