<調査>「国を救うための暴力」なら支持するアメリカ人が4人に一人へ急増
White Evangelicals More Open to Political Violence Than Non-Christians
共和党候補のトップを独走するトランプ(10月28日、ラスベガスの選挙集会で) REUTERS/Steve Marcus
<暴力を支持する最大の勢力は、2020年の米大統領選が「盗まれた」と信じている人々。危険な兆候だ>
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アメリカ国民の20~25%を占めるというキリスト教プロテスタントの福音派は、政治的にも大きな影響力をもっている。妊娠中絶や同性婚に反対し、進化論を信じないことなどでも知られる。この宗派に属する白人は、キリスト教徒以外の人々よりも政治的暴力を支持する傾向が強いことが、公共宗教研究所(PRRI)の最新の調査で明らかになった。
ドナルド・トランプ前大統領の支持者が2020年大統領選の結果を覆すために連邦議会議事堂を襲撃した2021年1月6日の事件以来、政治的暴力に対する懸念が高まっている。
福音派の白人というグループ全体に1月6日の襲撃の責任があるわけではないが、トランプの最も忠実な支持者が多い。
PRRIは10月25日に世論調査を発表し、その一部に「憂慮すべき」結果が含まれていると述べている。「ものごとが間違った方向に行き過ぎた場合、真のアメリカの愛国者は、国を救うために暴力に訴えなければならないかもしれない」という意見にアメリカ人のほぼ4分の1が賛成したという。
今回の調査によると、賛成した回答者は2021年には15%だったが、2023年には23%にまで上昇した。
白人の福音派の場合、31%がこの意見を支持し、非キリスト教徒や無宗教のアメリカ人を大きく上回った。調査対象となった他のキリスト教信者のグループでは、政治的暴力を支持する割合が福音派よりかなり低く、非キリスト教徒より低いグループもあった。
キリスト教徒以外でも増加
暴力を肯定する意見を支持したのは、福音派以外の白人プロテスタントで25%、黒人プロテスタントでは24%だった。また、ヒスパニック系カトリック信者では21%、白人カトリック信者では20%だった。
政治的暴力を支持する意見はすべてのグループで増加したが、最も増加したのはキリスト教以外の宗教の信者で、21年には9%だったが、今回は23%に急上昇した。福音派の白人では、24%から31%へと、増加の幅はそれほど大きくはなかった。
だが回答者が政治的暴力を肯定するかどうかを決定する最大の要因は、宗教ではなかったようだ。所属政党、特にトランプと彼の「盗まれた」2020年大統領選挙という偽りの主張を支持するかどうかが、はるかに大きな影響を与えているようにみえる。
暴力を行使して「国を救う」ことを支持する主要政治グループとしては共和党が33%と最も多かった。民主党員の場合、賛成は13%ので、無党派層は22%で差が開いた。トランプを支持する共和党員は、支持しない共和党員の2倍以上であり、41%対16%の大差がついている。