最新記事
軍事ドローン

ロシアのドローンは100%中国製⁉️──露財務相

Russia Says China Supplies 'Almost All' of Its War Drones

2023年10月17日(火)21時28分
ケイトリン・ルイス

軍事用ドローンを「人質」にされたも同然のプーチン(10月17日、一帯一路国際会議で北京を訪れ、習近平の歓迎を受ける)Sputnik/Sergei Savostyanov/REUTERS

<ロシアに軍事支援はしないという中国政府の約束はとうに反故にされていた>

ロシアのアントン・シルアノフ財務相は10月16日、現時点でロシアのドローン(無人機)のほとんどすべてが中国製であると述べた。

<動画>世界で引っ張りだこ、中国DJIのドローン

シルアノフは、ロシア下院の予算・税制委員会の会合で、中国政府の協力に対して感謝したうえで、ロシアは「国産の生産基盤」の開発に取り組まなければならないと説いた。ニュースサイト「ウクライナ・プラウダが伝えた。

「現在、ほぼすべてのドローンは中国から調達されている」とシルアノフは述べた。「これについては、中国に感謝している。だが、国産の生産基盤も開発する必要があり、それに必要な資金はすでに割り当てた」

この発言は、ウクライナ侵攻以降のロシアと中国の蜜月を明確に示すものだ。中国政府はかつてロシアに軍事支援はしないと約束したが、完全に矛盾している。ロイターの報道によれば、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も、今年3月に中国の習近平国家主席をもてなしたあとにロシアと中国が軍事同盟を結ぶことはないと公言し、両国軍の協力関係を「透明」に保つと言明していた。

シルアノフは、ロシアは国産のドローン基盤を開発する新たな国家プロジェクト」に6億1600万ドル超を割り当てたと発表した。そしてロシア政府は「2025年までにドローン全体の41%を『ロシア製』にすることをめざす」と述べた。

ほぼ20カ月にわたるロシアとウクライナの戦争では、戦闘において無人航空機(UAV)が継続的に重要な役割を果たしていることから、双方のドローン開発に拍車がかかっている。だがロシアはウクライナ侵攻のあいだ、長らくイラン製のドローン「シャハド131」および「シャハド136」に頼ってきた。英国防省は6月の時点で、ロシアは国産ドローン製造の取り組みを開始したが、これは「ほぼ確実にイランの支援を受けている」とされていた。

世界有数のドローン輸出国である中国は、大型ドローンや関連UAV部品に対する新たな輸出規制を9月から導入し、ウクライナの複数のドローンメーカーの調達に支障が出ていることは、以前ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。同紙によれば、この輸出制限がおこなわれる前の1月から6月には、ウクライナのドローン製造各社は、中国各社から20万ドル相当のドローンを調達していたという。

一方ロシアは同時期に、中国各社からの直接購入により1450万ドル相当のドローンを調達した、と同紙は伝えている。だが、ロシア国営メディアのコメルサントが以前に報じたところによれば、中国の輸出制限でロシアのドローン調達も「ひどく複雑なものにしている」という。

アメリカ政府は、中国各社がロシアのドローン技術開発を支援していることについて、たびたび警告を与えてきた。ロイターの報道によれば、米商務省は9月、中国企業11社とロシア企業5社に対して、新たな貿易制限を科すと発表した。ロシアのウクライナ侵攻で使われるドローン部品の取引があった企業とされている。(翻訳:ガリレオ)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

原油先物2%下落、2週間ぶり安値 OPECプラス増

ワールド

拡大BRICSが外相会合、貿易保護主義に懸念表明 

ワールド

米、1カ国と貿易協定で合意と商務長官 国名は明かさ

ワールド

米、ウクライナ紛争終結へ進展なければ仲介役から退く
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 6
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 9
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中