北朝鮮、越境米兵を中国へ国外追放 スウェーデン仲介で米国がすでに身柄保護・帰国へ

北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は27日、7月に南北軍事境界線を越え北朝鮮に渡ったトラビス・キング米軍兵士の国外追放が決定したと伝えた。板門店で7月撮影(2023年 ロイター)
北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は27日、7月に南北軍事境界線を越え北朝鮮に渡ったトラビス・キング米軍兵士の国外追放を当局が決定したと伝えた。
その後、米政府関係者はロイターに対し、キング氏は北朝鮮から中国に追放され、同氏の身柄を米国が保護し帰国させると述べた。詳細は明らかになっていないが、関係者によると、キング氏は心身ともに良好で帰国できることを「非常に嬉しく思っている」という。また北朝鮮からの追放後、家族との会話もできたとした。
また、今回の件を巡り北朝鮮に対するいかなる譲歩もなかったとした。
米当局者によると、スウェーデン政府が北朝鮮でキング氏の身柄を引き受け、国境を越えて中国に連れて行き、米国に引き渡したという。この当局者はスウェーデンと中国の双方に感謝の意を表明した。
スウェーデン外務省は、キング氏の帰国にスウェーデンが支援できたことを「うれしく思う」とした。米国は北朝鮮に外交代表を持っておらず、スウェーデンが北朝鮮に対する米国の「利益保護国」となっている。
在ワシントン中国大使館も現時点でコメントしていない。
米国務省のマシュー・ミラー報道官は記者団に対し、キング氏は数時間以内に帰国すると発表。また、キング氏の帰国は北朝鮮との関係改善につながる兆しとはみなしていないとしたほか、中国はこの件を仲介したわけではなく、乗り継ぎ地点としての役割を果たしたとした。
KCNAはキング兵士についての最終調査結果を報道。同兵士は違法に北朝鮮に侵入したことを認めるとともに、米軍内での非人道的な扱いと人種差別に対して反感を抱いていたと述べたという。
当局が国内法にのっとり国外追放を決定したと報じたが、追放の時期や手続きなどは触れていない。
北朝鮮は中間調査結果として、キング兵士が同じ理由で北朝鮮などへの亡命を希望していると公表していた。
