中央アジアでうごめく「ロシア後」の地政学
Players Are Reconsidering Their Bets
経済関係は中国が圧倒
ウクライナ戦争が長期化するなか、ロシア経済を支え、戦争の継続を可能にしている最大の立役者が中国だ。その背景には、いつか中国が台湾統一に乗り出して国際的に孤立したとき、ロシアがサポートしてくれることへの期待があるのかもしれない。
中央アジアと南カフカス地方には、ロシアのウクライナ戦争を明確に支持する国は1つもない。同時に、ロシアを孤立させようとする欧米諸国の試みにも加わっていない。むしろこの地域のほとんどの国は、ロシアとの経済関係を拡大させてきた(ロシアが制裁に苦しんでいることに乗じた側面もあるだろう)。
ただ中央アジア諸国も、南カフカス地方の国々のように、最近の地政学的ダイナミクスを受けて外交関係の多角化に努めてきた。カザフスタンやウズベキスタンも、多方面外交を進めている。こうした動向は、これまでこの地域に影響力の足がかりが乏しかったアメリカにとって大きなチャンスだが、同時に、大国間の競争が急激に展開する危険も生む。
中央アジアも南カフカスも伝統的にロシアとの関係が深いことや、両地域の間でつながりが拡大していることを考えると、南カフカスの情勢不安がたちまち中央アジアに飛び火する可能性はある。その逆もあり得る。
アメリカが今後、中央アジアや南カフカスへの関与を深めていくなら、こうした潜在的な安全保障上のリスクをその戦略に慎重に織り込まなければならない。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら