慰安婦問題を巡る日韓の対話──ソウルで歴史的なシンポジウムが開催された
9月1日、慰安婦問題日韓共同シンポジウム 撮影:佐々木和義
<2023年9月5日、ソウルプレスセンターで慰安婦問題の実態と日韓教科書の記述を中心テーマとした日韓共同シンポジウムが開催された。日本と韓国の専門家たちが、歴史認識の違いや教育への影響を探求。この会議は、両国の歴史的課題への理解を深め、関係改善の新たなステップを目指した......>
2023年9月5日、ソウルプレスセンターで、第2次慰安婦問題日韓共同シンポジウム「慰安婦問題の実態と日韓教科書の記述」が開催された。
日本からは麗沢大学の西岡力特任教授、国際歴史論戦研究所の山本優美子所長、松木國俊上席研究員が登壇し、慰安婦問題は日本発だと指摘した。
吉田清治氏が創作したフィクションを朝日新聞が事実のように報道したのが発端で、国連人権委員会や国際労働機関ILOが「慰安婦は性奴隷」と認定したことについても、日本の左派が提出した意見書のみで具体的な調査は行われなかったし、当時の日本政府が謝罪するなど、日本に非があったかにように行動したと説明した。また日本の教科書は日教組に所属する教員が選ぶことから自虐史観の教科書が広がったと日本の事情を紹介した。
韓国側は柳錫春元延世大学教授、落星台経済研究所の李宇衍研究員、金柄憲国史教科書研究所長が登壇し、慰安婦は年季奉公契約に基づく「身売り」だったが、朝鮮にはそのようなシステムも相当する単語もなかったことから人身売買と訳されたと紹介。また、韓国の教科書は子供たちに日本への憎悪を植え付けるだけで客観性に欠けていると指摘した。
日本から出席した人たちは、翌6日、旧日本大使館前で行われた反反日デモに参加した。
親日派と知日派の違い
韓国で日本贔屓の人たちや日本に詳しい人たちは、親日派、知日派と呼ばれている。
親日派は日本や日本人、日本文化を好む層で、日韓関係が悪化した文在寅前政権下では、売国奴呼ばわりされて肩身の狭い思いをした。朴槿恵元大統領は父親の影響から親日派と目されていた。
知日派は日本に詳しい人たちだ。売国奴といわれることを避けるため、知日と名乗る親日もいる。文在寅政権下で国務総理を務めた李洛淵氏は、東亜日報の東京駐在員を務めた経験などから知日派と見做されている。先月亡くなった尹錫悦現大統領の父親の尹起重氏も事実上は知日派といえるだろう。
新親日派も現れている。慰安婦問題やいわゆる徴用工問題といった日韓問題を調べるうちに、日本の主張が正しく、韓国の主張は誤っていると気づいて反日派を批判、糾弾する反反日だ。
親日派は日本贔屓、知日派は日本の立場には立たないが理由のない盲目的な日本批判は行わない、新親日派は捏造や歪曲に基づく反日は韓国にとって良いことではないと考える違いがある。
反反日派の活動と目的
反反日団体は2020年6月24日以降、毎週水曜日に旧日本大使館前で正義連(正義記憶連帯)の解体や慰安婦像の撤去を求めるデモを行なっている。正義連の前身である挺対協が、宮澤喜一首相が訪韓した1992年から毎週デモを行なってきた「水曜集会」と同じ時間の同じ場所である。
2020年5月、元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さんが、正義連と前理事長の尹美香氏の不正疑惑を暴露したのをきっかけに、反反日団体が立ち上がり、親日派らが加わった。