ロシアは北極海航路も中国とインド頼み
Putin and Xi's Arctic Gamble Thwarted by Icebreaker Shortage
必要な財源と技術は中国に?
<野心的な目標は立てたが、砕氷船が足りない!>
ロシアは北極圏における中国との貿易拡大を計画しているが、砕氷船の不足が障害になるかもしれない。
ロシアの北極圏開発を担当するアレクセイ・チェクンコフ極東・北極圏発展相は、ロシアの経済紙RBCに対し、来年までにロシア北極海航路経由で供給される貨物量3400万トンを2倍以上に増やす計画があるが、世界的に原子力砕氷船の数が不足している、と述べた。
今年3月に中国の習近平国家主席がモスクワを訪問した際、ウラジーミル・プーチン大統領は、北極海航路を開発するための共同作業組織の設立を発表した。北極海航路はノルウェーとの国境に近いムルマンスクからアラスカに近いベーリング海峡に至るヨーロッパとアジアを結ぶ最短航路ルートで、ロシアにとってスエズ運河の代わりになる重要な航路だ。
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ロシアのバルト海から中国北部の石油精製所までの所要時間を劇的に短縮することが可能なこの航路について、ロシアは、インドとも協力体制を模索している。
プーチンは今年6月、インド、ブラジル、中国、南アフリカを含むBRICsサミットで、北極海航路を含むロシアの旗艦プロジェクトをどのように開発したいかを語った。北極海航路の開発には、新しい港、燃料ターミナル、砕氷船の数を増やす必要がある。
新たな船の建造も困難
チェクンコフはRBCの取材に答え、「私の最大の懸念は、十分な数の耐氷船団を確保できるかどうかということだ」と語り、2031年までに2億トンを輸送するというロシアの目標を達成するには船の数が足りないことを認めた。
最大の問題は、砕氷船を製造する造船所が不足していることだ。船の建造には「数カ月ではなく数年」かかるという。チェクンコフによれば、ロシアは新しい船の建造について中国やインドと協議している。
ロシア政府は2022年に、北極海航路で操業するための砕氷船と耐氷船50隻を建造し、港湾、サテライト、石炭、石油、液化天然ガス用のターミナルなど、操業に必要なインフラを整備する13年計画を承認した、とRBCは報じている。
今年3月、ロシアの北極圏開発プロジェクト室専門家会議のコーディネーターであるアレクサンドル・ボロトニコフは、ロシアのニュースメディアUra.ruに対し、ロシアは北極海ルートを開発するために、「財源と必要な技術」がある中国のようなパートナーを必要としている、と語った。
ロシアのドミトリー・メドベージェフ安全保障会議副議長副議長と北極海航路の運営会社で国営原子力企業ロスアトムの代表は昨年、砕氷船の数が不足していると警告した。RBCによると、メドベージェフは、ロスアトムが管理する砕氷船6隻の船のうち3隻が技術的に時代遅れになっていると述べた。
北極海航路は今年7月に開通し、ロシア産原油の代表油種ウラル原油を積んだタンカーがバルト海のプリモルスク港とウスチ・ルーガ港から中国山東省南部海州湾の日照市に向け出航した。