最新記事
スポーツ

特殊戦司令部の制服脱いだミス・コリア、韓国代表でアジア大会の金目指す ところでカバディって何?

2023年9月24日(日)08時31分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


ミス・コリアから特殊戦司令部の将校へ

さらに、ウ・ヒジュンは「国の役に立ちたい」というかねてからの願いを実現するため大学で予備役将校訓練課程を経て、卒業後は陸軍少尉に任官。2021年から第23歩兵師団飛龍旅団偵察中隊小隊長として服務、その後、陸軍特殊戦司令部国際平和支援団に所属した。2022年9月には通訳将校としてレバノンに派遣されるなどしたが、2023年5月初めに韓国に復帰後、6月30日中尉で除隊した。

除隊を希望した理由はもちろん、カバディのためだ。中国・杭州で開催されるアジア大会に向け完璧な準備をしたいと思っていたからだ。

ウ・ヒジュンは「2018年ジャカルタ-パレンバン大会のとき、父が警察の仲間とプラカードを作って、スマホ越しに応援してくれたことが今も鮮明に記憶に残っている。メダルを獲得できなかった結果には、私より父の方が悔しがっていました。今回のアジア大会では必ずメダルを獲得して、父の首にかけて上げたい」と話している。

ところでカバディって何?

カバディは鬼ごっこ、ドッジボール、格闘技を融合させたようなスポーツだ。攻撃手(レーダー)1人が守備陣地に侵入して相手をタッチした後、自陣に戻ればタッチした相手選手の数ほど点数を得る。タッチされた選手はアウトとなる。守備チームも攻撃制限時間30秒以内に相手のレーダーが自陣に戻ることはできないように防げば、レーダーをアウトさせることができる(1点)。男子部の試合は前・後半各20分、女子は各15分で勝負を決める。

カバディはインドの古代叙事詩「マハーバーラタ」でアビマニュ王子が敵軍7人に包囲されて戦死したという話にルーツをもつ競技だ。そのため1チームの出場選手が7人になっている。競技名の「カバディ」はヒンディー語で「息を我慢する」という意味だ。レーダーは、相手陣営でずっと「カバディ、カバディ、カバディ....」と声を上げなければならない。違反すれば相手に点数(1点)と攻撃権まで奪われる。

アジア大会では1990年北京大会から正式種目になった。韓国のカバディ国家代表チームは男子が2014年仁川大会で銅メダル、2018年ジャカルタ-パレンバン大会で銀メダルを獲得した。女子はまだアジア大会ではメダルを獲得したことがない。

アジア大会で金目指すもパリ五輪には......

アジア大会での金メダルを目指すウ・ヒジュンだが、さらに来年のパリ五輪は......。残念ながら彼女は出場できない。なぜならカバディはオリンピックに採用されていないからだ。インド発祥のカバディのほか、タイやマレーシアで盛んなセパタクローもオリンピックでは採用されていないアジア大会の正式種目だ。もっとも、近年オリンピック、アジア大会ともに競技の入れ替わりが進んでいるので、今後、競技人口が増えればカバディが五輪正式種目になる日が来るかもしれない。

なにはともあれ、中国・杭州でのアジア大会でカバディの試合は10月3日から始まる。ウ・ヒジュン選手の活躍に期待したい。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

全国コアCPI、3月は+3.2%に加速 食料品がさ

ビジネス

焦点:ECBがハト派メッセージ、市場は利下げ幅拡大

ビジネス

為替、ベッセント米財務長官と「緊密に協議」=加藤財

ビジネス

日経平均は小反落で寄り付く、半導体株の一角が軟調
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判もなく中米の監禁センターに送られ、間違いとわかっても帰還は望めない
  • 3
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、アメリカ国内では批判が盛り上がらないのか?
  • 4
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 5
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 6
    ノーベル賞作家のハン・ガン氏が3回読んだ美学者の…
  • 7
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 8
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 9
    関税を擁護していたくせに...トランプの太鼓持ち・米…
  • 10
    金沢の「尹奉吉記念館」問題を考える
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 7
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 8
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中