NATO加盟を断念すれば領土はウクライナに返す──ロシアは今そう言ったのか?
Russia May Have Just Given Ukraine Terms for Ending War
カッツは、クリミアは1990年の時点ではウクライナ・ソビエト社会主義共和国の属州だったが、「ラブロフの声明は決定的なものではないかもしれない。クリミアに関しては後にウクライナにそれほど寛大ではない『説明』が行われるかもしれない」と感じているという。
「それでも、ロシアが単に戦争を終わらせたいだけなら、それが占領中のウクライナの領土に対するロシアの支配を放棄することを意味するとしても、ウクライナのNATO加盟を阻止することを、勝利と表現することができるかもしれない」
「だがウクライナとNATOがこの条件に同意するとしても、プーチンが停戦を実行できるかどうか、私にはわからない。この紛争でロシア軍が経験した莫大な犠牲が、そのような合意に見合うのかという問題が提起されるだろう」
コーネル大学のデビッド・シルビー准教授(歴史学)は、ラブロフの発言とそれがクリミアとどう関係していくかという点が「曖昧で、それ自体が興味深い」と本誌に語った。
「ラブロフにとって、話を明確にするのは簡単だっただろうが、彼はそうしなかった。彼がプーチンの許可を得ずにこのようなことをするはずがない。両者ともに、こうした発言はクリミアについての疑問を提起することを知っているはずだ」
ドネツク州などを返還?
ロシアがクリミアをウクライナに返還する気がないとしても、ラブロフの発言は、プーチンがドネツク、ヘルソン、ルハンスク、ザポリージャ州の支配権を放棄する可能性を意味するとも解釈できる。1年前、プーチンはこの4つの地域をロシアに併合したと発表し、国際社会からは違法な動きと批判された。
「この4つの領土に関しては、返還する意思がロシアにあることを示唆していると思う」と、シルビーは語った。

アマゾンに飛びます
2025年4月1日号(3月25日発売)は「まだ世界が知らない 小さなSDGs」特集。トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら