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日本社会

日本全国の空き家の数は、25年後には1000万軒を超える

2023年9月13日(水)11時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

このやり方により、住宅総数に占める空き家の割合を都道府県別に計算してみた。2018年の実測値と2048年の予測値に基づき、20%を超える県に色を付けた地図にすると<図1>のようになる。

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色付きの県は2018年では2県だが、2048年では19に増え、6つの県では30%を超える。岩手県、宮城県、福島県では4割超えになっている。これらの県は、震災により建設された仮設住宅等の影響があるので割り引いて考える必要がある。だが、それとは無関係の西日本の諸県の空き家率も高く出ている。先ほど述べた理由により、実際にはもっと高くなると思われる。

全住宅の3割から4割が空き家。こういう地域も出てくるわけだ。放置しておいたらゴーストタウン化するのは必至。これはまずいと、「家賃は要らないからハウスキーパーとして空き家に住んでください」と頼まれる時代になるかもしれない。黙っていても、家が空から降ってくる。考え方によっては明るい未来展望だ。

空き家は、放置しておくと朽ち果てたり、犯罪の温床になったりと、社会の安全を脅かす危険因子になりかねない。しかし適切に活用されるなら逆だ。若者の「住」の支援に使われてもいい。

人口が減り、住める家が大量に余る時代になる。こういう時代では、ハコを新たに作るのではなく、既存のハコを生かす。持続可能な社会の形成にあたって不可欠な思考転換だろう。

<資料:総務省『住宅土地統計』

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