最新記事
日本政治

「サラリーマンの税金は安すぎ!?」 岸田政権が給与所得控除の引き下げを画策、年収400万円で20万円の負担増か

特に、「公的年金控除」と「給与所得控除」の二重取りについては、今後是正される可能性が高いと思います。

年金を受給しながら働く場合、公的年金控除と給与所得控除の両方を受けられます。ただ、これが現役世代に比べて優遇されているという議論があり、見直しが検討されています。

実施されれば、年金で暮らす方にとってはかなり痛いと思います。

ほか、「住宅ローン控除」の見直しも検討されているようです。

少子高齢化の影響で空き家問題が深刻化しているため、これ以上新築を推奨するのは良くないという議論があり、見直しが検討されているようです。

年末の税制改正大綱に入るかどうかが焦点

これらの増税案は、あくまで現在議論されている段階に過ぎません。年末に発表される自民党の税制改正大綱に入るかどうかは現時点ではまだわかりません。

しかし、政府税調のレポートには財務省の意向が強く反映されていると見るべきで、この方向で決まる可能性は高いと思われます。

実際、インボイス制度の場合もこうした経緯をたどっています。2013~14年ごろに政府税調で議論された後、2015年に閣議決定され、実施が決まりました。

ちなみにインボイス制度の場合、税理士会は政府税調で議論されていた時から反対していました。ただその時点では世論が盛り上がっておらず、そのまま決定されてしまいました。

増税は実施が決まってからひっくり返すのは難しい、というのが過去から得られる教訓です。政府税調での議論を注視し、増税の是非について、継続的に見ていかなければならないと思います。

山田真哉(やまだ・しんや)

公認会計士・税理士・作家
公認会計士・税理士、芸能文化税理士法人 会長。著書『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社)はベストセラーに。YouTube「オタク会計士ch」は登録者数50万人を超える。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

スズキ、関税影響など今期400億円見込む BYD軽

ビジネス

スーパーのコメ価格、18週ぶり値下がり 5キロ42

ワールド

米国に対する世界の評価が低下、中国下回る 「米国第

ワールド

英インフレ弱まる兆しあるが依然注意必要=ロンバルデ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 6
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 7
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中