最新記事
世界が尊敬する日本人100

「スキヤキ」以来、約60年ぶりに米ビルボード「トップ10」の快挙...動画界から世界的な音楽家へ転身したJojiとは何者か?

2023年8月15日(火)14時22分
澤田知洋(本誌記者)
Joji

TIM MOSENFELDER/GETTY IMAGES

<お笑いと自作ラップで人気動画投稿者だったJojiは、今度は音楽で世界を魅了。多くの引き出しを持つアーティストの記録と魅力について。本誌「世界が尊敬する日本人100」特集より>

昨年、日本でほぼ注目を集めないままある大記録が更新された。

シンガーソングライター・Joji(ジョージ)のピアノバラード「グリンプス・オブ・アス」が坂本九の「スキヤキ」以来、日本人ソロミュージシャンとして約60年ぶりに米ビルボードチャートでトップ10入りしたのだ。

■【動画】Jojiの「グリンプス・オブ・アス(Glimpse of Us)

 
 
 
 

アメリカを拠点に世界で勝負するJojiの曲の詞は当然英語。だが彼は大阪出身で、18歳まで神戸のインターナショナルスクールで過ごし、日本が故郷だと公言するオーストラリア系の日本人でもある。

欧米の音楽シーンで今、最も人気のミュージシャンの1人で、今夏は大規模な世界ツアーの最中にある彼はどのような人物なのか。

1992年生まれのJojiが世に最初に出たのは、今でいうYouTuberとしてだった。特に知られているのは、曲に合わせて踊り狂う世界的な流行現象「ハーレム・シェイク」の基となる動画を2013年に投稿したこと。

過激なお笑いと自作ラップなどの活動は熱狂的支持を集め、最後の投稿から5年たった今でもYouTubeのチャンネルには約800万人の登録者が残る。

だがそこから音楽家への転身はスムーズではなかった。ネット上でコミカルなキャラクターを演じ続けるプレッシャーを一因とするストレス性の発作を告白し、動画投稿から引退。

17年頃から「お笑い」時代とは一線を画すシリアスで内省的な作風の音楽活動を本格化させる。そしてアジア系のミュージシャンが集まる米レーベル88risingへの所属から快進撃が始まった。

18年にアルバム『Ballads1』が米ビルボードのヒップホップ/R&B部門でアジア人として初の1位を獲得。これまで発表したJoji名義の3枚のアルバムはいずれもヒットし、音楽配信サービスでの累計再生回数は120億回を超える。

「悲しく、扇情的」と本人が語るR&B などをベースにした現在のスタイルと、過去のひょうきんな顔。「矛盾した人間」と自己分析するなかには表現者としての引き出しがまだ多く眠っていることを予感させる。

Joji
●シンガーソングライター

ビジネス
栄養価の高い「どじょう」を休耕田で養殖し、来たるべき日本の食糧危機に立ち向かう
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏

ワールド

米、クリミアのロシア領認定の用意 ウクライナ和平で

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平仲介撤退の可能性明言 進

ビジネス

トランプ氏が解任「検討中」とNEC委員長、強まるF
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 5
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 6
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 7
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 8
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 6
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中