最新記事
ウクライナ

ゼレンスキーが欧米の援助金で「私腹を肥やした」は嘘?本当? 「豪華プールつき大邸宅」写真を検証

Fact Check: Does Zelensky Live in $5.5M Mansion With Infinity Pool?

2023年7月22日(土)12時57分
ブレンダン・コール
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領(2022年10月) Ukrainian Presidential Press Service/Handout via REUTERS

<ゼレンスキー大統領が援助金を不正に使って白亜の豪邸を所有していると「物件写真」を投稿する人々の主張は正しいのか?>

ロシアの侵攻に激しく抵抗し、現在は欧米諸国からの支援を得て反転攻勢に出ているウクライナ。そのトップとして国民を鼓舞し続けるウォロディミル・ゼレンスキー大統領だが、そんな彼が欧米からの支援で「私腹を肥やしている」という根拠不明の主張が一部で盛り上がっている。最近では彼が所有する物件だとして白亜の豪邸の写真が投稿され、注目を集めている。果たしてこれらの写真や主張は信用できるものなのか、検証を行った。

■【画像】ゼレンスキーの自宅だとしてネットに投稿された「白亜の豪邸」...その真相は?

ゼレンスキーが政権トップの座に上り詰めたのは、この国で2015年に放送された『国民の僕(しもべ)』というドラマがきっかけだ。ゼレンスキーが演じた主人公は、もともと教師だったが、ウクライナ政権の汚職を批判するところを隠し撮りされて投稿された動画が話題をさらい、最終的には大統領になるという役柄だった。

人生は芸術を模倣する。登場人物たちがロシア語を話していたこの人気ドラマは、政治家たちの腐敗にうんざりしていたウクライナ国民の心に響き、ゼレンスキーは2019年、本物のウクライナ大統領になった。

しかし、ゼレンスキーは最近、根拠のない批判にさらされている。自身のドラマが容赦なくあざ笑ったような不正行為を、ゼレンスキー自らが働いているとする糾弾があとを絶たないのだ。

ロシアの侵略と戦うウクライナを西側諸国は援助しているが、こうした援助金がゼレンスキー個人によって不正に使われ、アメリカやイタリア、イギリス、最近ではフランスにまたがる不動産ポートフォリオの構築に使われている、というのだ。

たとえば、「陰謀論者」を自称するツイッターアカウント、リズ・チャーチルは、27万3000人にのぼる自らのフォロワーたちに向けて、ある物件の画像を共有した。まるでドラマで使われるような、緑豊かな丘にたたずむ豪邸の画像だ。

「これがゼレンスキーの自宅写真だ」と主張

チャーチルは、所有権に関する証拠を提示することもなく、こう書いている。「アメリカは、ウクライナに対する13億ドル規模の追加支援を発表したばかり。思い出してほしい...これがゼレンスキーの自宅の写真だ(笑)」

チャーチルはさらに、こう続けた。「夢のような邸宅の購入に協力してくれた貧しい個人や家族全員に礼状を書くよう、彼に求めるのは酷だろうか?」

しかしSNSでは、このチャーチルの主張をあざ笑う声がすぐに上がった。この画像の物件が、実際はフランスの不動産サイトで売りに出されているものであると指摘し、ゼレンスキーの所有物ではないと反論したのだ。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中