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乱暴で高圧的、異民族に厳しいことで有名...なぜフランスの警官は「荒くれ者」ぞろいなのか?【注目ニュースを動画で解説】

2023年7月21日(金)16時45分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
荒くれ者ぞろいのフランス警官

Newsweek Japan-YouTube

<フランスで全国各地に広がった暴動の背景を解説するアニメーション動画の内容を一部紹介>

荒くれ者ぞろいの警官が貧困地区の移民を射殺。「差別はない」というフランスの建前と現実の間には大きな矛盾があることが改めて明らかになった。

本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「デモ参加者を「害虫」と呼ぶ仏警官...「差別はない」の建前とかけ離れたフランスの現実【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。

 
 
 
 
◇ ◇ ◇

去る6月27日にパリ西郊外ナンテールでアラブ系の少年が白人警官に撃ち殺されたことで、全国各地に怒りの暴動が広がった。警官の暴力を現場に居合わせた市民がスマホで撮影し、ネットにアップした動画が拡散されたことで暴動に火が付く──この流れは、2020年にアメリカで黒人男性ジョージ・フロイドが警官に首を圧迫されて殺された事件の時と同じだ。

そもそもフランスの大都市周辺の最貧地区においては、以前から黒人・アラブ系住民と警官隊が一触即発の状態にあった。

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フランスがこうした騒乱状態に陥るのは2005年以来のこと。そのときは、パリ郊外で警官に追われた若者3人が逃げ切れずに事故で2人が死亡、1人が重傷に。被害者と同じマイノリティーたちによる暴動は3週間も続いた。

フランスの警察には「人種差別と残虐性という二重の問題」があるものの、「歴代の政権はどちらからも目を背けてきた」とグルノーブル政治学院の社会学者セバスチャン・ロシェは指摘する。

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フランスの警察が高圧的なのは昔からで、特に異民族には厳しいことで有名だった。バンリューでは貧困と犯罪が同居しており、警察はそこを犯罪の巣窟と決め付けている。

ロシェによると、05年の暴動を境に歴代の政権はバンリューの治安維持に対するアプローチを変え、それまで以上に強硬な対応を取るようになったという。

犯罪を未然に防ぐという名目で「疑わしい」人を予防的に拘束する部隊が結成され、そこには大抵、最も乱暴な警官が配置されていた。

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これで警察のロジックは変わり、彼らは地域住民に安心を提供する存在ではなくなったとロシェは言う。

「今の警官はゴム弾銃を構えてバンリューに乗り込み、力を誇示し、住民に恐怖心を植え付ける」

今回の暴動後にも警官の組合が声明を出し、暴動に参加した人たちを「野蛮人の群れ」「害虫」と呼び、警察は彼らと「戦争状態にある」と宣言した。

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20年以降、フランスでは平均すると年に44人が警官に殺されており、この数はドイツやイギリスよりもずっと多い。

原因の一端は、17年に大統領となったマクロンが警官の数を急激に増やしたことにありそうだ。結果として倍率は低下し、元々50人に1人程度の採用だったのが近年では5人に1人に。訓練の期間も短縮され、ドイツが3年なのに対し、フランスはわずか8カ月だ。

こんなやり方で警察への信頼が高まるわけがない。

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警察を律する法律にも問題がある。

2017年には、自分や同僚の命に差し迫った危険がない場合でも警官は銃器を使用できるとした法律ができた。ロイター通信の集計によると、警官による銃器使用の権限が拡大されて以降、交通検問中に殺害された人の大半は黒人かアラブ系だという。

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ナンテールの事件で、フランスのテレビ局は「運転者が白人であれば事件の結末は違っていたのではないか」という当然の疑問に触れたがらなかった。しかし、「バンリューの怒れる若者たちは、不平等や差別、人種的偏見をすごくリアルに感じている」と、パリ社会科学高等研究院のミシェル・ビビオルカ教授は言う。

彼らは一般市民に比べて進学や就職でも苦労しているのに、政治家たちは貧困地区を「政治の空白地帯」と見なし、ほとんど関心を向けていない。暴動が何度でも繰り返される理由には、こうした事情がある。

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■詳しくは動画をご覧ください。

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