「金儲け」と批判殺到...出演者は全員欠席、それでも決行の映画『ホーンテッドマンション』プレミアに投入されたのは?
プレミアが開催されたアナハイムのディズニーランド(写真は2019年4月24日に撮影) The Image Party-Shutterstock
<全米俳優組合(SAG-AFTRA)、全米脚本家組合(WGA)がスト入りしている中、組合員ではないキャストを利用してプレミアを決行したディズニーに対して非難の声が上がっている>
【動画】ストで欠席の出演者に代わってプレミアに投入されたミッキー、ミニーら
ディズニーパークの人気アトラクションを実写映画化した『ホーンテッドマンション』(9月1日公開)のワールドプレミアが、7月15日に米アナハイムのディズニーランドで開催され、レッドカーペットにミッキーマウスやミニーマウスらディズニーの人気キャラクターたちが登場するも、出演者は誰一人として姿を見せない前代未聞の珍事が起きた。
全米俳優組合(SAG-AFTRA)が7月14日からストライキ入りしたことによる影響で、ラキース・スタンフィールド、ロザリオ・ドーソン、ジェイミー・リー・カーティス、オーウェン・ウィルソンら出演者が全員欠席。その代役を務めたのが、ディズニーの人気キャラクターたちだった。
「金儲け」と非難の声
今年10月に創立100周年を迎えるウォルト・ディズニー・カンパニーは、記念すべき『ホーンテッドマンション』のプレミアを支障なく行い、主役抜きでのレッドカーペットを盛り上げるための苦肉の策として自社の人気キャラクターを投入。作品をイメージしたパープルカラーでコウモリをあしらわせた衣装を身にまとったミッキーとミニーに加え、『眠れる森の美女』に登場するマレフィセントや『白雪姫』の魔女、『101匹わんちゃん』でおなじみのクルエラ・ド・ビルらヴィラン(悪役)も駆け付け、華を添えた。
大手スタジオの映画としてはスト入り後初となった注目のプレミアが予定通り行われたことに、ネットでは「恥を知れ」「中止すべきだった」と批判が殺到。俳優に加えて全米脚本家組合(WGA)もスト入りしている中でディズニーが組合員ではないキャストメンバーを利用して決行したことに、「金儲け」だと非難の声が上がっている。
スト長期化の可能性も
ユニバーサルは17日に予定していたクリストファー・ノーラン監督の新作『オッペンハイマー』のニューヨークプレミアを中止し、パラマウントもゾーイ・サルダナ主演でニコール・キッドマンやモーガン・フリーマンが出演するドラマ『Special Ops: Lioness(原題)』のプレミアを行わないことを決めている。
ハリウッド最大の16万人が加入するSAG-AFTRAは、ディズニーやネットフリックス、アマゾンなど大手制作会社に対し、ストリーミングが台頭する中での公正な利益の分配や労働条件の改善、人工知能(AI)に仕事を奪われないための規制などを求めている。
ジョージ・クルーニーをはじめ、マーク・ハミルやジェシカ・チャステインら大物も43年ぶりとなるストを支持する声明を出しており、長期化する可能性も取り沙汰されている。
[筆者]
千歳香奈子
北海道・札幌市出身。1992年に渡米し、カリフォルニア州サンタモニカ大学で写真を学ぶ。96年アトランタ五輪の取材アシスタントとして日刊スポーツ新聞社アトランタ支局に勤務。ロサンゼルス支局、東京本社勤務を経て99年よりロサンゼルスを拠点にハリウッドスターら著名人へのインタビューや映画、エンターテイメント情報等を取材、執筆している。日刊スポーツ新聞のサイトにてハリウッド情報や西海岸のトレンドを発信するコラムも寄稿中。著書に『ハリウッド・セレブ』(学研新書)。
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