最新記事
ワグネル

露「ワグネル」創設者プリゴジンは「すでに死亡している可能性が高い」...元米陸軍大将が指摘

2023年7月15日(土)11時37分
ダニエル・オング
エフゲニー・プリゴジン

エフゲニー・プリゴジン(モスクワ、2023年4月) REUTERS/Yulia Morozova/File Photo

<プリゴジンは今、どういう状態にあるのか。情報が錯綜するなか、元米軍陸軍大将は「彼を見ることはもうないだろう」と語った>

6月下旬にロシア政府に対する「反乱」を起こした民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジンは、「すでに死んでいる可能性が高い」と元米陸軍大将が語った。ロシア大統領府は、反乱後の6月29日にウラジーミル・プーチン大統領とプリゴジンを含むワグネル幹部が面会したと発表しているが、これについても「演出」だという見方を示した。

■【写真】札束、意外なコレクション、「悪趣味」すぎる写真...「ワグネル」プリゴジン邸の内部

元米陸軍大将のロバート・エイブラムスは今週、ABCニュース・ライブに出演し、プリゴジンとプーチンの会談は、ロシア政府がでっち上げたものだと主張した。そのうえで、反乱後のプリゴジンは、二度と公の場所に姿を現すことはないかもしれないと述べた。

在韓米軍司令官だったエイブラムスは、「まず、プーチンとプリゴジンが本当に会談したという証拠が出てきたら、私は驚くだろう。あれは高度な『演出』だったと思う」と語った。「私の見立てでは、プリゴジンを公の場で見ることはもうないだろう。彼は身を隠すか、投獄されるか、何らかの処分を受けることになると思うが、二度と彼を見ることはないだろう」

ではプリゴジンはまだ生きていると思うか、という質問に対してエイブラムスは、「すでに死んでいると思う」と答え、もし生きているとしたら「どこかの刑務所」にいる可能性が高いと言い添えた。

プーチンの盟友でもあるプリゴジンは6月23日、ロシア国防省に対する武装反乱を起こした。ロシア国防省が、ウクライナにあるワグネルの拠点を爆撃し、自身の兵士数十人を殺害したと主張してのことだ。

ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が仲介した結果、プリゴジンがベラルーシに亡命すれば、ロシア政府はすべての嫌疑を取り下げる、という取引が成立し、武装反乱は終結した。

ロシアに戻ったとされるが目撃情報なし

以来、プリゴジンは所在不明だ。ロシアとベラルーシを行き来するワグネルの航空機は目撃されており、反乱の数日後にはプリゴジンがプライベートジェットでベラルーシに到着したとルカシェンコは述べている。一方でロシアのドミトリー・ペスコフ報道官は7月10日、プーチンが6月29日にロシアでプリゴジンと会談したと発表した。これはプリゴジンがベラルーシに到着したとされる翌日にあたる。

「プーチン大統領が会談を主催し、35人を招待した。ワグネルの指揮官とプリゴジン本人を含む幹部全員だ。この会談は6月29日にクレムリンで行われ、ほぼ3時間に及んだ」とペスコフは述べた。

会談が報告され、プリゴジンはロシアに戻ったと報道されているにもかかわらず、生きているプリゴジンの目撃情報はまだない。
(翻訳:ガリレオ)


試写会
米アカデミー賞候補作『教皇選挙』一般試写会 30組60名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中