南北戦争以来の分断...アメリカの二極化、背景にある「3つの原因」と「日本への影響」
DARKENING AMERICA
アメリカの政治体制や民主主義は埋め難い亀裂に引き裂かれた DOUGLAS RISSING/ISTOCK
<社会の多様化を受け入れられない白人の怒りが、南北戦争以来の二極化に拍車をかけるリスク。本誌「『次のウクライナ』を読む 世界の火薬庫」特集より>
かつてアメリカを訪れた人は、多種多様な人が混在するにもかかわらず、崇高な理念の下にまとまりが保たれている社会に感嘆したものだ。
今は違う。アメリカの政治と社会は、南北戦争以来の激しい分断にさいなまれており、人々は客観的な事実についてさえ合意できない。2021年1月の連邦議会議事堂襲撃事件は、無数の人がその映像を見ているにもかかわらず、事件が本当にあったかが議論になっているのだ!
「覚えておいたほうがいい」と、ドナルド・トランプ前大統領は言った。「皆さんが見ていることは......実際に起きていることとは違うのだ」と。
こうした認識の分断と、社会的緊張の高まりは、皮肉にも、制度的人種差別を禁じる公民権法が成立した1964年以降、少しずつ悪化してきた。人種よりも狭い共同体意識が強くなり、それが社会の分断を悪化させた。主流派としての優位を失うに従い、白人は怒りを募らせ、変化に反発するようになった。
その集大成がトランプだ。なにしろトランプは、エリートや政治機構や民主主義を敵と呼び、民意を代表するのは自分だけだと主張した。
どうしてこんなことになったのか。原因は主に3つある。