最新記事
米大統領戦

「私なら戦争を1日で終わらせた」というトランプ発言をゼレンスキーが否定

Zelensky Rejects Trump's Claim He Could End Ukraine War 'in 24 Hours'

2023年7月10日(月)16時36分
アンドリュー・スタントン

ゼレンスキー大統領(2022年10月25日、ウクライナのキーウ) Gleb Garanich/REUTERS

<「ウクライナとロシアの戦争はトランプ在任中も続いていた」と、当時の無策をチクリ>

もし自分が大統領だったら、ロシアとウクライナの戦争を「24時間以内に」終わらせていた──これは来年の米大統領選挙で返り咲きを狙うドナルド・トランプ前米大統領の主張だ。だがウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領はこの言い分を一蹴した。

トランプに言わせれば、ロシアが昨年2月にウクライナ侵攻に踏み切ったのはジョー・バイデン米大統領のせいだ。トランプだったら、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とも関係が深いし交渉能力も高いので、戦争を1日で終わらせることができただろう、とも述べている。

トランプは今年1月、ニューハンプシャー州セーラムのイベントで「(大統領在任中は)私という人間がいたから戦争から距離が置けた」と述べた。「ロシアとこんなことには絶対にならなかったし、プーチンが戦いを始めることも絶対になかった。今の状態でも、私だったら24時間で解決できた。ところが実際にはひどいことが起きている。(ウクライナの)多くの都市が破壊されてしまった」

在任中もトランプが介入する機会はあった

だが9日に放送された米ABCニュースのインタビューで、ゼレンスキーはロシアとウクライナの戦争を終わらせるトランプの能力に懐疑的な見方を示した。ロシアとウクライナの間の緊張は(2014年のクリミア併合以降)、トランプの任期中も何年もかけて高まったのであり、トランプが介入する機会はいくらでもあったと述べたのだ。

「戦争を終わらせたいという願いは美しいと。だがその願いは、現実世界の行動に基づくべきだ」とゼレンスキーは述べた。「当時もわれわれは戦争をしていた。全面的な戦争ではなかったけれど、戦争をしていた。当時彼はその24時間を思い通りに使えたと思うが、他の何かを優先したに違いない」

ゼレンスキーはまた、バイデンであれトランプであれ、ウクライナに広範囲の領土をロシアに譲り渡すよう迫れば、戦争を「ほんの5分間で」終わらせることができただろうと述べた。たとえウクライナ政府が「頑として同意しなかった」としてもだ。

税制
日本のモデルは「合理的」。安定財源として期待される「たばこ税」はどうあるべきか?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米PCE価格、10月前年比+2.3%に伸び加速 イ

ワールド

トランプ氏指名の閣僚候補らに脅迫、自宅に爆破予告な

ビジネス

米GDP、第3四半期改定値は+2.8% 速報値から

ワールド

韓国大統領、ウクライナ代表団と会談 武器支援要請と
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 3
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウクライナ無人機攻撃の標的に 「巨大な炎」が撮影される
  • 4
    「健康食材」サーモンがさほど健康的ではない可能性.…
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    「健康寿命」を2歳伸ばす...日本生命が7万人の全役員…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    未婚化・少子化の裏で進行する、「持てる者」と「持…
  • 9
    トランプ関税より怖い中国の過剰生産問題
  • 10
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 7
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 10
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中