最新記事
中ロ関係

中ロの蜜月、プリゴジンの乱でリスク露呈 ロシア向け輸出を緊急停止する中国企業も

2023年6月28日(水)13時04分
ロイター
乾杯するロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席

ロシア民間軍事会社ワグネルによる反乱は短期間で収束したものの、中国ではロシアとの深い関係がリスクになっていることが露呈した。写真は3月、ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席がモスクワでのレセプションに出席する様子。提供写真(2023年 ロイター/Sputnik)

ロシア民間軍事会社ワグネルによる反乱は短期間で収束したものの、中国ではロシアとの深い関係がリスクになっていることが露呈した。

反乱のニュースが24日に流れると、中国南部の企業経営者はロシア向け商品の出荷を停止するよう工場にあわてて電話をかけ始めた。

福建省にある企業向け貿易団体の代表者、シェン・ムーフイ氏は、ロシアに自動車部品、機械、衣料品を輸出している加盟企業間に混乱が広がったと証言。危機は和らいだが、「これから何が起こるか分からないので様子見している人もいる」という。出荷を停止した企業名は挙げなかった。

中国は週末の反乱を大ごとにしないようするため、ロシア政府への支持を表明。ウクライナ侵攻直前、中国はロシアと「制限なし」のパートナーシップを結んでいる。

しかし、米政府高官は26日、反乱が中国指導部を動揺させたとの認識を示した。

一部アナリストは中国がロシアとの政治・経済的関係を弱める必要があるのではないかと思い始めており、シンガポールを拠点とする安全保障アナリストのアレクサンダー・ニール氏は「この『制限なし』の関係にはハエがたかっている」と表現した。

中国国営紙の評論員らは反乱を抑えたロシアのプーチン大統領の迅速な対応を称賛したが、批判的な言論が厳しく統制されている中国国内でもロシア寄りの中国政府の姿勢に疑問を呈する声が出始めている。

上海を拠点とする国際関係問題専門家、沈丁立氏は「(中国は)ロシアに関する言動により慎重になるだろう」と述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

展覧会
奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」   鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

年内2回利下げが依然妥当、インフレ動向で自信は低下

ワールド

米国防長官「抑止を再構築」、中谷防衛相と会談 防衛

ビジネス

アラスカ州知事、アジア歴訪成果を政権に説明へ 天然

ビジネス

米連邦地裁、マスク氏の棄却請求退ける ツイッター株
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...スポーツ好きの48歳カメラマンが体験した尿酸値との格闘
  • 4
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 5
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 6
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 10
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中