プリゴジン蜂起の真の理由はワグネル愛。ワグネル解体の回避もまだ諦めていない?
Prigozhin Speaks for First Time Since Deal With Putin
ワグネルが占拠したロストフのロシア軍南部軍管区司令部で話すプリゴジン(6月24日) Press service of "Concord"REUTERS
<7月1日をもってワグネルを廃止してロシア国防省に統合することは断固拒否しているし、仲介役のベラルーシ大統領も解体以外の方法があると言ったというが>
ロシアのオリガルヒ(新興財閥)で民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジンは6月26日、ロシア政府に対する武装蜂起を唐突に終わらせた後、初めてコメントを発表した。
プリゴジンは23日、自らが率いる部隊に対し、ロシア国防省に戦いを挑むよう呼びかけた。ウクライナに駐留していたワグネルの部隊をロシア正規軍が攻撃し、多くの戦闘員を死に至らしめたと主張してのことだ。ワグネルは、ロシア南西部ロストフ・ナ・ドヌにあるロシア軍の拠点を制圧したと発表したのち、首都モスクワを目指して北上を始めた。
一部では、未遂に終わったクーデター、あるいは武力による反乱とも表現されている今回の武装蜂起は、プリゴジンが25日、隣国ベラルーシの仲介による和解提案を受け入れたと報道されて、急転直下で終結した。この合意の一環として、ワグネルの部隊は、安全を保証されるのと引き換えに、反乱を中止することになった。また、プリゴジン自身もロシアを離れ、ベラルーシに居住することで合意したという。
プリゴジンは26日、武装蜂起の失敗以来初めて沈黙を破り、自身の公式テレグラムチャンネルに、一連の音声メッセージを投稿した。これらの音声クリップの中でプリゴジンは、自身の部隊について、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を標的にしたり、政権転覆を目指していたわけではなかったと強調した。
ウクライナ侵攻、自分なら成功していた
BBCニュースによるこの音声クリップの翻訳によれば、「我々は、ロシア指導部を転覆するために進軍したわけではない」とプリゴジンは述べている。「進軍の目的は、ワグネルの解体を回避することと、プロ意識に欠ける行動によって膨大な数の過ちを犯してきた上層部の責任を問うことにあった」
プリゴジンはさらに、ワグネルは合意内容のうち、「2023年7月1日をもってワグネルを廃止し、(ロシア)国防省に統合する」ことを目的とする部分については「断固として」拒否すると主張した。プリゴジンによれば、ワグネルの指揮官たちは、国防省との契約受け入れを拒否しているという。
プリゴジンはさらに、武装蜂起を終わらせる合意に際して、ベラルーシの独裁者アレクサンドル・ルカシェンコ大統領が関与したことを認め、同大統領が「手を差し伸べ、ワグネルがその活動を合法的に継続するための方法を提案してくれた」と述べた。
プリゴジンはまた、音声クリップの中で、ロシア正規軍への批判を繰り返した。短期間で終わったワグネルの武装蜂起は、「ロシア全土における深刻な安全保障上の問題」を露呈させたと述べ、自身の部隊が最初の攻撃を遂行していたなら、ウクライナ侵攻はもっと成功していたはずだと主張した。