プリゴジンはベラルーシからキーウを攻める計画? ウクライナは国境を警戒せよ
Mutinous Prigozhin Faces Exile in Belarus but Putin's Grip Slips
ウクライナ侵攻が動きの遅い消耗戦と化したことで、プーチンのイメージは傷ついたが、絶対的指導者としてなんとかしのいでいる状態だ。そんな時期に起きたブリゴジンの反乱は、大統領の権力支配に対するあからさまな攻撃の意味合いを帯びている、と専門家やコメンテーターは考えている。
「この事件によって、プーチンの力は永遠に衰えていく」と、元駐ウクライナ大使のジョン・ハーブストはCNNに語った
元イギリス軍情報将校のクリストファー・スティールは、25日のニュース専門局スカイ・ニュースで、プーチンは今のところ「ロシア国内での権威と正当性を失った」が、「今のところはなんとか持ちこたえている」と述べた。
そして「昨日、ロシアで起きた出来事や、事態が手に負えなくなるまでのスピードを見て、プーチンと周囲の人々は非常に心配しているに違いない」と、付け加えた。
ロシア国営メディアによると、モスクワ周辺には検問所が設置され、軍隊が市の南部に急行した。ワグネルの進軍を遅らせるために高速道路が掘り起こされ、モスクワのセルゲイ・ソビャーニン市長は「休業日」を宣言し、住民に自宅待機を求めた。
プリゴジンがベラルーシに到着したかどうかはまだ確認されていないが、ロシア国営通信社ノボスチが24日の夕方にツイッターに投稿した映像には、プリゴジンが車の後部座席に乗って、ロストフを出発する様子が映っている。
プリゴジンが率いていたワグネルの戦闘員たちが亡命先で彼と合流するかどうかもわからない。
狙いはキーウ?
だが今回のプリゴジンとルカシェンコの合意を受けて、ウクライナはベラルーシを注視すべきだと警告する声もある。元英国陸軍参謀総長のリチャード・ダナットは25日、プリゴジンのベラルーシ行きは 「懸念すべき問題」だとスカイ・ニュースに語った。
「もしプリゴジンが実戦可能な戦闘部隊を引き連れてベラルーシに行ったとしたら、それは、キーウ進攻に距離的に最も近く、再び脅威がもたらされるだろう。昨年2月24日にすべてが始まった場所だ」
ウクライナは、「ベラルーシとの国境附近を注意深く監視し、再攻撃を撃退できるような機動部隊を確保しておくべきだ」と彼は付け加えた。
侵攻の初期段階では、戦車と歩兵部隊の隊列がベラルーシ国境からキーウに向かって進んだ。戦術的な失敗により隊列が立ち往生したため、部隊は撤退を余儀なくされた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、プーチンが自国をコントロールできなくなったという見解を示し、24日午後にこうツイートした。 「今日、世界はロシアの指導層が何も支配していないことを知った。ゼロだ。完全なカオスだ」。同夜のビデオ演説で、ゼレンスキーはプーチンが 「明らかにとても怖がっている」と主張した。