米司法省、麻薬鎮痛剤原料の違法取引で中国企業・個人を起訴 中国外務省は即時釈放を要求、両国の新たな火種に
米司法省は、麻薬鎮痛剤「オピオイド」の一種「フェンタニル」の原料となる化学物質を違法に取引したなどとして中国の化学メーカー4社と個人8人を起訴したと発表した。写真はフェンタニルの包。シカゴ・オヘア空港の米税関・国境取締局で2017年11月撮影(2023年 ロイター/Joshua Lott)
米司法省は23日、麻薬鎮痛剤「オピオイド」の一種「フェンタニル」の原料となる化学物質を違法に取引したなどとして中国の化学メーカー4社と個人8人を起訴したと発表した。
フェンタニルの原料製造に関わったとして米国が中国企業を起訴するのは初めて。フェンタニルは中毒性が強く、米国で薬物過剰摂取の問題に拍車をかけている。
起訴された企業は米国に大量のフェンタニルを持ち込むメキシコの麻薬組織に原料を販売したとされる。このうち1社と幹部3人はフェンタニルの密売、原料輸入、マネーロンダリング(資金洗浄)の罪に、残る3社と個人はフェンタニル製造・流通の共謀罪に問われた。
中国外務省は24日、フェンタニルに絡む口実を利用した中国企業や中国人に対する制裁・起訴をやめるよう求め、「違法に拘束」された人の即時釈放を要求。米国に責任転嫁や中国への中傷を停止するよう求めると表明した。
在米中国大使館の報道官は、自国の法を他国に適用する「ロングアーム管轄権」の行使は麻薬対策での中米協力にさらなる障害をもたらすと述べていた。
ブリンケン米国務長官は18─19日の訪中で、フェンタニルの流入阻止には中国の協力拡大が必要だと伝えた。