<動画>退却しようとする味方に発砲するロシア軍──銃で戦闘続行を強いる「督戦隊」か(ウクライナ・メディア)
Video shows Russian military shooting own retreating troops: Ukraine media
志願兵を募集するロシア軍の巨大ポスター(5月30日、モスクワ) Maxim Shemetov-REUTERS
<英国防省の諜報部門が昨年11月にその存在を報告したロシア軍の「退却阻止」部隊の蛮行とみられる動画がウクライナで話題に>
メッセージアプリ「テレグラム」上にあるウクライナのチャンネルに6月12日、ドローンで撮影したとされる動画が投稿された。ロシア軍の兵士3人が、退却する仲間の兵士少なくとも7人に向けて発砲する様子、ということだ。
問題の動画は、ウクライナ内務省の支援を受けて創設されたプロジェクト「自国民を探せ」が投稿したものだ。同プロジェクトは、ウクライナでの戦闘中に捕虜になったり死亡したロシア兵の親族が彼らを探せるように、写真や記録を共有する活動を行っている。
ウクライナの英字紙「キーウ・ポスト」は、この動画はウクライナのメディア「UNIAN」が本物と確認したと報じた。UNIANによれば、味方の兵士に向けて発砲しているのはロシア軍「督戦隊」の兵士たち。キーウ・ポストはこの「督戦隊」について、「必要とあれば殺傷力の高い武器を使ってでも、味方の兵士が戦闘から逃げるのを阻止することが任務」だと説明した。
動画はロシアの活動家グループ「アクティバティカ」がツイッター上で共有したが、これが本物かどうか本誌では確認ができていない。本誌はこの件についてロシア外務省にメールでコメントを求めている。
「逃げれば撃つ」と仲間を脅す
「督戦隊」とみられる兵士たちは、おそらく警告のために空に向けて発砲した後、退却する兵士たちに直接発砲している。発砲を受けた兵士たちが死亡または負傷したかどうかは分かっていない。
ソ連崩壊後の国際政治を専門とするジェイソン・ジェイ・スマートは本誌に対し、「ロシア軍の兵士が味方の兵士を撃つ行為は、ロシア軍においてはずっと以前から行われてきた。今回の戦争でも当たり前に行われてきたことだ」と述べた。
キーウ・ポストの特派員も務めるスマートはさらに指摘した。「兵士たちは人命を守ることに関心がない。今回の出来事は、まさにロシア軍の考え方や行動そのものだ」
ロシア軍がウクライナに「督戦隊」を配備していることは、昨年11月に英国防省が確認していた。同省は報告書の中で「ロシア軍は士気が低下したり戦闘を嫌がる兵士に対処するため、兵士の退却を阻止する『督戦隊』を導入したようだ」「これらの部隊は兵士たちに攻撃態勢を維持させるために、退却する者は撃つと脅す。過去の戦いでも使ってきた手だ」
英国防省はまた、同部隊の存在について次のように評した。「戦場から逃げる兵士を撃つというやり方は、ロシア軍の質が低く、士気が低く、規律が取れていないことの証拠だ」