モスクワへの大規模ドローン攻撃でロシアエリートが激怒
Russian Fury Over Moscow Drone Strikes: 'Terrorist Attack'
ドローン攻撃があったモスクワ郊外の住宅地(5月30日) Guardian News/YouTube
<攻撃を行ったとされるウクライナに対し、国民の間に報復の気運が盛り上がる、と期待する声も>
ドローンによる首都モスクワへの「テロ攻撃」はロシアのエリート層を激怒させており、ロシア政府はウクライナを非難している。ウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナ政府はロシアによる同様の反撃を受けることになると述べた。
プーチンは、全ロシア国営テレビ・ラジオ会社(VGTRK)に対し、5月30日朝のドローン攻撃はウクライナによるもので、ロシアの反撃を誘う意図があると語った。「彼らは私たちを挑発し、同等の反応を引き出そうとしている。どうするかについては、これから検討する」とプーチンは述べた。
モスクワが大規模なドローン攻撃の標的になったのは、15カ月余り前に始まったウクライナ戦争で初めてのことだ。ロシア国防省は、ウクライナが「テロ攻撃」を仕掛け、少なくとも8機のドローンが軽微な被害をもたらしたと非難している。モスクワのセルゲイ・ソビャーニン市長によれば、重傷者は出ていないという。
ウクライナは、攻撃への関与を否定している。
プーチンの公邸も
ロシアの独立系テレグラムチャンネル「ウィー・キャン・エクスプレイン」は、ドローンが目撃された場所を分析した結果として、ドローン攻撃の標的には、ルブリョフカ(モスクワ近郊の高級住宅地)にあるプーチンの公邸と側近の邸宅が含まれていたと報告した。
ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジはソーシャルメディア上で、ドローン攻撃に対する怒りを表明した一人だ。ただしプリゴジンはこの機会に乗じて、ロシア国防省を激しく非難している。プリゴジンはしばしば、ロシア軍の統率力について批判し、ワグネルの兵士から意図的に弾薬を取り上げていると訴えてきた。
「くさい卑怯者ども! おまえたちはいったい何をしているのだ?! こそこそ隠れていた戸棚から出てきて、この国を守れ! おまえたちは国防省だ! おまえたちは、何も物事を前進させていない! どうしたらモスクワに無人機(UAV)の侵入を許せるのだ?!」。プリゴジンは自身のテレグラムページで、怒りに満ちた音声メッセージを公開した。
「ドローンがルブリョフカの自宅まで飛んできて、家を燃やそうとするのを許すなんて。爆弾を搭載したUAVが自宅に突入したら、一般市民はどうすればよいのだ? 私は一市民としてものすごく怒っている。卑怯者どもは平然と、高価なクリームを塗りつけた太った尻で椅子に座っているのだ。ロシア国民には、極悪人どもにこのような質問をする完全な権利がある」
一方、元ロシア軍司令官の軍事ブロガーで、国家主義者を自称するイーゴリ・ギルキンは自身のテレグラムチャンネルで、政府系のテレビ局は、モスクワで起きたドローン攻撃の影響を小さく見せようとしているという、ある人物の見解を紹介した。